AD/DAコンバーター/オーディオインターフェイス

【秋のイチ押し宅録ギア徹底試奏レポート】リンクスAurora(n)【レビュー】

【秋のイチ押し宅録ギア徹底試奏レポート】リンクスAurora(n)【レビュー】

2017/11/17


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豊富な拡張機能を持つ超高解像度のインターフェイス
リンクス
Aurora(n)
オープンプライス(以下は市場予想価格)
AURORA(n) 8 - USB=¥310,000 AURORA(n) 8 - HD=¥310,000
AURORA(n) 8 - TB=¥355,000 AURORA(n) 8 - DNT=¥365,000
AURORA(n) 16 - USB=¥430,000 AURORA(n) 16 - HD=¥430,000
AURORA(n) 16 - TB=¥475,000 AURORA(n) 16 - DNT=¥485,000
AURORA(n) 24 - HD=¥550,000 AURORA(n) 24 - TB=¥595,000
AURORA(n) 24 - DNT=¥605,000 AURORA(n) 32 - HD=¥670,000
AURORA(n) 32 - TB=¥715,000 AURORA(n) 32 - DNT=¥725,000
問:㈱フックアップ
TEL:03-6240-1213

試奏・文:篠崎恭一
写真:小貝 和夫

※本コンテンツは音楽雑誌「サウンド・デザイナー」(2017年11月号)より抜粋したものです。詳しくは、http://www.sounddesigner.jp/をご覧ください。


【製品概要】
名器Auroraを再設計したマスタリンググレードの高音質なAD/DAコンバーター。USB、Thunderbolt、DANTEなど複数の接続方式でオーディオインターフェイスとしても使える。最大32チャンネル仕様まで用意されており、24ビット/192kHzまで対応。SynchroLock2による高い精度のクロックを誇り、3つのワードクロック出力を備えているため、小規模システムのクロックマスターとしても使用できる。

 


マイクやプリアンプの特性と演奏のニュアンスをありのままに反映

今回はリンクスが発表したAurora(n) を試奏しました。背面がモジュール式になっており、豊富な入出力と接続方法の選択肢を持つ同モデルですが、今回はThunderbolt接続の24ch(D-Sub接続×3)仕様のモデルをチェックします。

まず驚くのは、電源を入れた直後の起動スピードの速さと、フロントパネルに配置されたフルカラーディスプレイです。1Uラックサイズながら、最大32chまで拡張でき、それらの入出力レベルをディスプレイでひと目で確認できます。これならパソコンの画面上のメーターを横スクロールして見る必要はなくなりますし、本機のメーターの動きは非常にナチュラルで正確にチェックできます。

早速、音質を確認してみました。まずはAD/DAコンバーターとしての性能をチェックするため、パソコンから出力したリファレンス音源を再生してみると、非常にクリアで素直な音質という印象を受けました。特にどこかの帯域にクセがあるということもなく、ソースのありのままの音を出力してくれているという印象です。

その印象は、前面に配置されたヘッドホン出力端子でヘッドホンモニターをした際も変わらず、アンプにパワーがありながら音が非常に素直なので、レコーディング時のモニター用としても十分に使用できるレベルだと感じました。ヘッドホン端子にアサインする出力チャンネルを、フロントパネルから容易に変更できるのもありがたい仕様です。

次に、入力側の音質をチェックするため、アコギとボーカルを録音してみました。今回のモデルはプリアンプを備えていないため、MIDASのミキサーのヘッドアンプを使用してみましたが、音の印象は出力と変わらず、非常に素直です。ボーカルに関しては、質感や細かなニュアンスはもちろん、マイクやプリアンプの特性までもしっかりと反映している印象で、ちょっとセッティングをイジっただけでも、その変化を逃さず拾ってくれるレスポンスの良さがあります。

それはアコギでも同じで、できるだけシンプルなセッティングで録音してみましたが、サスティンの切れ際やピッキングの微妙なニュアンスなど、繊細な表現もありのままに録音することができました。試しに、マイクなどはそのままにプリアンプをAPIに変えてみると、素直な印象は変わらず、プリアンプを変えたことによる変化がしっかりと音に表われて、余計な味付けのないサウンドを録ることができました。

マスタークロックとして使用すると音の印象は変えずに解像度が上がる

音質的には文句の付けどころがないAurora(n)ですが、本機の売りは音質だけではありません。新たに設計された「SynchroLock2」という高性能なサンプルクロック技術が採用されており、その自信の表われか、通常のオーディオインターフェイスでは考えられない3つのワードクロック出力を備えています。

そこで今回は、マスタークロックとしての性能もチェックしてみようと思い、普段使用しているオーディオインターフェイスとDAコンバーターのクロックをAurora(n)から取って、音質の変化を確認してみました。

筆者は普段、ADATでクロックを取っているのですが、Aurora(n)のクロックに変えてみたところ、音の印象はそのままに、解像度が上がったような印象を受けました。細かいダイナミクス変化などが非常に確認しやすくなり、今までズレていたピントがしっかりと合ったような感覚には驚きました。

もちろん、Aurora(n)は他の機器からワードクロックを受けることもできますが、このクオリティであればヘタなクロックマスターを使用するよりもAurora(n)をマスターにする方が、システム全体のクオリティアップにつながると思います。また、どの仕様のAurora(n)を選んでもワードクロックの入出力を備えているのもうれしい点です。

現時点でも豊富なラインナップを備えているAurora(n)ですが、今後もさらに開発が進み、豊富な拡張機能を選択できるようになるとのことで、「長く使える高音質な名器」と呼べる機材だと思います。

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フルカラーのLEDディスプレイを備えており、Aurora(n)の機能のほとんどを、フロントパネルだけで操作できるように設計されている。また、最大2TBまでのmicroSDカードを直接挿れて、本機を単独のマルチトラック・レコーダーとして使用することも可能だ。すべてのボタンにはLEDが備えられているため、暗い場所での視認性も非常にいい。ヘッドホン端子を2つ備えているのもありがたい

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リアパネルは電源部分以外がモジュール仕様となっており、豊富なラインナップから選択して組み合わせられる。年内にはデジタルI/Oや、プリアンプを備えたモジュールなどが発売予定で、今後も時代のニーズに合わせた豊富な機能拡張が期待できる。クロックも高い精度を誇っており、ワードクロック出力を3つ備えているため、小規模システムであればインターフェイス兼クロックマスターとしても使える

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⬆︎宅録では使うことの少ないD-Sub端子だが、ケーブル1本で8chのバランス信号を扱える優れものだ。システムもすっきりとし、スペースも少なく済む。右が8chアナログ入力ケーブルCBL-AIN85、左が8chアナログ出力ケーブルCBL-AOUT85(共にオープンプライスで市場予想価格は¥10,000前後)

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⬆︎最大32チャンネルのダイレクト録音と再生に対応した録音機能を搭載している。記録メディアはmicro SDカードを使用する

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⬆︎フロントパネルにはハイエンドオーディオ・グレードのヘッドホン端子を2つ搭載。それぞれ独立してボリュームをコントロールすることができる

 

スペック

●システム要件:Mac OS X 10.11またはmacOS 10.12(最新アップデート)、Intel Core i5、2GB RAM(4GB推奨)、Windows 7、8、または10(最新Service Pack、32/64ビット)、Intel Core i5または同等のCPU、2GB RAM(4GB推奨) ●内蔵オーディオインターフェイス:24ビット/96kHz ●PCとの接続:USB 2.0、3.0 ●端子:TRSライン出力×2、TRSライン入力×2、ダイナミックマイク用フォーン入力、ヘッドホン出力、MIDI入力、MIDI出力、フットスイッチまたはペダル入力×1 ●電源:15V 1.2Aの電源アダプタ付属 ●外形寸法:320(W)×301(D)×41(H)mm ●重量:2.2 kg

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