レコーディング定番モデルと最新モデルがガチンコ対決!

【定番機の後継モデルと復刻モデルをレビュー】AKG C451 B

【定番機の後継モデルと復刻モデルをレビュー】AKG C451 B

2017/12/15


小型ダイアフラムによる繊細でクリアな高音が特徴

AKG
C451 B

オープンプライス(¥32,000前後)
ヒビノ㈱ ヒビノプロオーディオセールス Div.
TEL:03-5783-3110
http://proaudiosales.hibino.co.jp/
 

試奏・定番モデル解説:篠崎恭一(SLOTH MUSIC)
 


ペンシル型のコンデンサーマイクの王道モデル「C451シリーズ」の現行機種が、このC451 Bです。発売当初からの伝統的なフォルムは変わらず、先端部分に埋め込まれた小型ダイアフラムは、コンデンサーマイクの中でも衝撃に強い仕様となっています。

ハイハットやドラムのトップマイクで使われることが多いのですが、今回は本機でアコースティックギターを録音してみました。そのサウンドは非常に繊細で、透明感のある高音には、本機でないと得られないきらびやかさがあります。指でのアルペジオやピックを使ったコードストロークと、色々な奏法を試してみましたが、まるで目の前で弾いているような生々しくリアルなサウンドで録音できました。ピックが弦に当たる質感や、ポジション移動をした際の「キュキュッ」というフレットノイズもありのままに拾ってくれます。

また、このマイクは指向性が比較的狭く設定されているので、マイクの位置を少し変えただけでも、録り音の印象が大きく変わります。逆に、それほどまでに繊細なところがこのマイクの持ち味と言えます。本体にパッドやローカットフィルターなども備えているので、様々なレコーディングのシチュエーションに対応できる、非常に便利なマイクです。

【製品概要】
「C451 B」は、1969年にAKGが発売した定番マイク「C451 E」のサウンドを継承したペンシル型のコンデンサーマイクだ。スモールダイヤフラムの採用により、音への反応が早く、ラージダイヤフラムのマイクよりも高域特性に優れている。プロの現場では、アコギやハイハットなどで多用され、ピアノやドラムのトップマイクなどのステレオ録音でも使われている。
 

定番モデル「AKG C451シリーズ」の特徴

立ち上がりの早いサウンドが得られるシンバル用マイクのワールドスタンダード

 

1969年の発売以来、ペンシル型(スティック型)と呼ばれるマイクの中で圧倒的な支持を集めて、定番となったマイクがC451シリーズです。

このマイクの大きな特徴は、何と言ってもそのスリムかつコンパクトな本体と、小型のダイアフラムの採用により、スピード感のある立ち上がりの早いサウンドが得られる点にあります。細身で軽量であるにも関わらず、非常に頑丈な造りをしているこのマイクは、狭い場所でもセッティングがしやすく、そのサウンド特性も相まって、ドラムのトップ、ライドシンバル、ハイハットなど、金物系を収音するマイクのワールドスタンダードとなっています。

また、スピード感のあるサウンドはスネアの収音にも最適で、コンデンサーマイクゆえに感度も高く、スナッピーの微妙な変化やリムの鳴りなどもしっかりと拾ってくれますし、ツブ立ちの良さから、アコースティクギターに使われることも非常に多いマイクです。なお、ウィンドスクリーンを付ければ、女性のウィスパーボイスの収音にも効果的です。
 

スタジオに行くと、大抵の場合ハイハットにはC451シリーズが立てられている。形状がスリムなため、ドラマーにとってプレイの邪魔になりにくい

スピード感があるうえに、高域の収音性能に優れているので、アコギにも最適だ
 

定番モデルはどうして長きにわたり愛され続けているのか?

定番モデルと後継・復刻モデルを紹介する前に、プロのスタジオではどうして「定番」と呼ばれる機材が必ず導入されているのかについて考察してみましょう。エンジニアとしてだけでなく、プログラマーやPAエンジニアとしても活躍している篠崎恭一さんが、わかりやすく解説してくれました。
 

クオリティの高いサウンドでレコーディングやミックスを行なうことができるプロのスタジオは、部屋の鳴りや導入している機材など、それぞれに個性や違いがありますが、その反面、どのスタジオにも定番の機材というものが置いてあります。定番となりうるその理由は様々あるのですが、まず何と言っても「音がいい」というのが大きなポイントとして挙げられます。例えば、マイクならシュアSM57やAKG C414、ノイマンU87、マイクプリならニーヴの1073、コンプでしたらユニバーサル・オーディオの1176あたりは、まさにド定番です。

それらの定番機材を使えば何もかも音が良くなるという訳ではありませんが、「この楽器をこの機材に通した音が最高」という実例が非常に多いのです。

スピーカーやヘッドホンなどのモニタリング機器に関しては、聴いて楽しい音でなく、演奏やミックスの時にリズムや帯域が見えやすい、フラットな音を持つものが使用されます。代表的なものは、スピーカーではヤマハNS-10M、ヘッドホンではソニーMDR-CD900STなどで、それらを置いていないスタジオを探す方が難しいほどです。

また、定番になりうるもうひとつの理由として、「操作性が非常にシンプル」という点も挙げられます。プロのスタジオは時間単位で使用料金が加算されるので、手早く音を作れるというのも実は重要なポイントなのです。また、シンプルな操作性は、多くのエンジニアが出入りするスタジオにおいて、誰でもすぐに使えるというメリットもあります。

定番機種は、そのような理由で需要が高く、姉妹品や後継・再現モデルの他に、プラグインも出ているので、今では宅録環境でも導入しやすくなっています。また、「シンプルで音がいい」というのは、宅録においても大きなメリットです。定番モデルや後継モデルの導入は、プロのサウンドに近づくための一番の近道と言えるでしょう。
 

手前はギターアンプの録音で必ずと言っていいほど使用されるシュアSM57(ダイナミックマイク)。奥は、アンプやアコギ、ドラムのオーバートップなどでも使われるAKG C414(コンデンサーマイク)だ
 

左のシュアSM57と並んでギターアンプのレコーディングで使用される、ゼンハイザーMD421(ダイナミックマイク)。アンプ以外にもスネアやタムなど、ドラムでも使うことが多い。通称「クジラ」と呼ばれている
 

世界中のスタジオでボーカルレコーディングに使用されている、ノイマンU87というコンデンサーマイク。非常に幅広い帯域を捉えることができ、シンガーやプレイヤーのニュアンスを余すことなく収音できる
 

こちらもモニタリングでは定番の密閉型ヘッドホン、ソニーMDR-CD900ST。ギターやキックなどの音の立ち上がりがとても速く、リズムに合っているかどうかの判断がしやすいため、特にミュージシャンが歌や楽器をレコーディングする際に使用される
 

上はユニバーサル・オーディオ1176(コンプ)。世の中に流れている音楽で、これを通していないものはないと言っても過言でない定番機だ。下はニーヴ1073という、これまたスタジオではスタンダードなマイクプリ。もともとはコンソールに組み込まれていたが、マイクプリ部を抜き出して使っている場合が多い
 

世界中のスタジオにセットされているヤマハのモニタースピーカーNS-10M。周波数特性がフラットで、音楽を制作するうえで不要な味付けがない

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