レコーディング定番モデルと最新モデルがガチンコ対決!

【定番機の後継モデルと復刻モデルをレビュー】ゴールデン・エイジ・プロジェクトPRE-73 DLX

【定番機の後継モデルと復刻モデルをレビュー】ゴールデン・エイジ・プロジェクトPRE-73 DLX

2017/12/17


憧れのニーヴ1073サウンドがお手頃価格で手に入る!

ゴールデン・エイジ・プロジェクト
PRE-73 DLX

¥62,000
㈱アンブレラカンパニー
TEL:042-519-6855
http://umbrella-company.jp/
 

試奏:原 朋信(カフェオレーベル)
定番モデル解説:篠崎恭一(SLOTH MUSIC)
 


オリジナルNEVE1073の音質は、内部に組み込まれた「トランス」という部品が決定付けています。オリジナルの1073には、マリンエアというメーカーのトランスが採用されており、このトランスが1073ならではの、ジューシーかつシルキーな質感を生み出していると言っても過言ではありません。

しかし、現在それは入手不可能で、代替品としてCarnhillやOEPという英国メーカーのハイエンド・オーディオトランスが、現行の1073レプリカモデルで多く使用されています。

本機はオリジナル開発のトランスを搭載しているのですが、さらに素晴らしいのは、出力にPADツマミを追加したことで、トランスに送る信号の量が調整でき、音質を自由にコントロールできる点にあります。実際、大きめにゲインを突っ込んでみると、トランス特有の倍音を強く引き出すことができ、曲に合った歪み感を加えられました。そういう意味で本機は、初心者でも音作りがしやすいと言えるでしょう。まさに、良質なトランスによる音質変化がマイクプリの武器になることを知っている機材なのです。

今までありそうでなかったこの機能により、トランスをドライブさせるという1073特有の音質変化を、この低価格で手に入れることができるのは驚きです。手軽に宅録でニーヴサウンドを使いたい人にオススメしたいモデルです。

【製品概要】
「PRE-73 DLX」は、ビンテージのニーヴ1073サウンドを低価格で再現した同社の人気機種「PRE-73mk3」に、プロ仕様の機能を加えたモデルだ。1073スタイルのハイパス(ローカット)フィルターを装備。また、出力にPAD機能を追加することにより、トランス特有の倍音を自由に調節することが可能で、歪みを演出しつつも適正なレベルで出力できる
 

 

定番モデル「ニーヴ1073」の特徴

ブリティッシュロックにピッタリのファットでクリーンなサウンド

 

もともと放送局用の機器を製造していたイギリスのニーヴ社が、70年代にウェッセックス・スタジオからオーダーされて製造したのが1073です。

その音質は、まさにブリティッシュなファットでクリーンなサウンドが特徴です。ニーヴ社の製品自体、非常に音が太いという印象がありますが、1073はそれに加えて高域の伸びと倍音の出方が素晴らしく、またそのバランスが絶妙なために、世界中の多くのエンジニアに愛用されています。
初期モデルの製造が50年近く前なので、状態のいい当時のオリジナル機はほとんど残っていませんが、他のメーカーから1073を意識した製品や、本家ニーヴ社からも後継機種と呼べるモデルが多く出ています。今もなおそのような製品が多く出ていることも、1073の需要が高い証でしょう。

「シルクのような音質」と形容されることもあるそのサウンドは、ボーカルはもちろん、キックやベースなどに最適で、太さと存在感を求めるソースに用いることで、素晴らしい質感を得ることができます。
 

レッド・ツェッペリンに代表される70年代のブリティッシュロック・サウンドを支えていたのが、この1073だ。周波数帯を細かく決めるなどの微調整はできないが、あらかじめ音楽的に最適な設定がされているので、素早く音決めが行なえる
 

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こちらは電源ユニットの入ったラックに1073を組み込んだ製品
 

定番モデルはどうして長きにわたり愛され続けているのか?

定番モデルと後継・復刻モデルを紹介する前に、プロのスタジオではどうして「定番」と呼ばれる機材が必ず導入されているのかについて考察してみましょう。エンジニアとしてだけでなく、プログラマーやPAエンジニアとしても活躍している篠崎恭一さんが、わかりやすく解説してくれました。
 

クオリティの高いサウンドでレコーディングやミックスを行なうことができるプロのスタジオは、部屋の鳴りや導入している機材など、それぞれに個性や違いがありますが、その反面、どのスタジオにも定番の機材というものが置いてあります。定番となりうるその理由は様々あるのですが、まず何と言っても「音がいい」というのが大きなポイントとして挙げられます。例えば、マイクならシュアSM57やAKG C414、ノイマンU87、マイクプリならニーヴの1073、コンプでしたらユニバーサル・オーディオの1176あたりは、まさにド定番です。

それらの定番機材を使えば何もかも音が良くなるという訳ではありませんが、「この楽器をこの機材に通した音が最高」という実例が非常に多いのです。

スピーカーやヘッドホンなどのモニタリング機器に関しては、聴いて楽しい音でなく、演奏やミックスの時にリズムや帯域が見えやすい、フラットな音を持つものが使用されます。代表的なものは、スピーカーではヤマハNS-10M、ヘッドホンではソニーMDR-CD900STなどで、それらを置いていないスタジオを探す方が難しいほどです。

また、定番になりうるもうひとつの理由として、「操作性が非常にシンプル」という点も挙げられます。プロのスタジオは時間単位で使用料金が加算されるので、手早く音を作れるというのも実は重要なポイントなのです。また、シンプルな操作性は、多くのエンジニアが出入りするスタジオにおいて、誰でもすぐに使えるというメリットもあります。

定番機種は、そのような理由で需要が高く、姉妹品や後継・再現モデルの他に、プラグインも出ているので、今では宅録環境でも導入しやすくなっています。また、「シンプルで音がいい」というのは、宅録においても大きなメリットです。定番モデルや後継モデルの導入は、プロのサウンドに近づくための一番の近道と言えるでしょう。
 

手前はギターアンプの録音で必ずと言っていいほど使用されるシュアSM57(ダイナミックマイク)。奥は、アンプやアコギ、ドラムのオーバートップなどでも使われるAKG C414(コンデンサーマイク)だ
 

左のシュアSM57と並んでギターアンプのレコーディングで使用される、ゼンハイザーMD421(ダイナミックマイク)。アンプ以外にもスネアやタムなど、ドラムでも使うことが多い。通称「クジラ」と呼ばれている
 

世界中のスタジオでボーカルレコーディングに使用されている、ノイマンU87というコンデンサーマイク。非常に幅広い帯域を捉えることができ、シンガーやプレイヤーのニュアンスを余すことなく収音できる
 

こちらもモニタリングでは定番の密閉型ヘッドホン、ソニーMDR-CD900ST。ギターやキックなどの音の立ち上がりがとても速く、リズムに合っているかどうかの判断がしやすいため、特にミュージシャンが歌や楽器をレコーディングする際に使用される
 

上はユニバーサル・オーディオ1176(コンプ)。世の中に流れている音楽で、これを通していないものはないと言っても過言でない定番機だ。下はニーヴ1073という、これまたスタジオではスタンダードなマイクプリ。もともとはコンソールに組み込まれていたが、マイクプリ部を抜き出して使っている場合が多い
 

世界中のスタジオにセットされているヤマハのモニタースピーカーNS-10M。周波数特性がフラットで、音楽を制作するうえで不要な味付けがない

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