リンクス AD/DAコンバーター Aurora(n)シリーズ

リンクスの新しいAD/DAコンバーターをスタジオの定番機と聴き比べてみた!

リンクスの新しいAD/DAコンバーターをスタジオの定番機と聴き比べてみた!

2017/12/15



マスタリンググレードの音質で定評のある、リンクスのAD/DAコンバーター「Aurora(n)」シリーズ。そのサウンドの実力を探るべく、クリエイター集団SUPALOVEのエンジニア/作・編曲家3名に、Aurora(n)でレコーディングとプレイバックを行なってもらい、スタジオの標準的なインターフェイスとして広く使われているアビッドHD I/Oと比較試聴してもらいました。 

取材:本多理人(編集部)
写真:小貝和夫

Aurora(n)製品概要

オープンプライス(以下は市場予想価格)
AURORA(n) 8 - USB=¥310,000 AURORA(n) 8 - HD=¥310,000
AURORA(n) 8 - TB=¥355,000 AURORA(n) 8 - DNT=¥365,000
AURORA(n) 16 - USB=¥430,000 AURORA(n) 16 - HD=¥430,000
AURORA(n) 16 - TB=¥475,000 AURORA(n) 16 - DNT=¥485,000
AURORA(n) 24 - HD=¥550,000 AURORA(n) 24 - TB=¥595,000
AURORA(n) 24 - DNT=¥605,000 AURORA(n) 32 - HD=¥670,000
AURORA(n) 32 - TB=¥715,000 AURORA(n) 32 - DNT=¥725,000


名器Auroraを再設計したマスタリンググレードの高音質なAD/DAコンバーター。USB、Thunderbolt、DANTEなど複数の接続方式でオーディオインターフェイスとしても使える。最大32チャンネル仕様まで用意されており、24ビット/192kHzまで対応。SynchroLock2による高い精度のクロックを誇り、3つのワードクロック出力を備えているため、小規模システムのクロックマスターとしても使用できる。デジタルI/Oを16チャンネル追加するモジュールLM-DIGが近日リリース予定。


【対応OS】Mac:OS X 10.6以降、Windows: XP/Vista/7/8/10 ●接続:Dante、USB、Thunderbolt、HD ●最大録音/再生チャンネル数:録音最大32、再生最大32 ●入出力端子:アナログイン×最大32、アナログアウト×最大32、ワードクロックイン×1/アウト×3 ●電源:AC100〜240V ●外形寸法:482.6(W)×43.2(H)×254(D)mm ●重量:約3.27kg

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今回の試聴会に参加してくれたSUPALOVEのクリエイター陣。左から、Tak Miyazawa氏(エンジニア)、鈴木裕明氏(作・編曲家)、伊東大和氏(エンジニア)

Aurora(n)はレンジが広くてローがキレイにちゃんと出ている

伊東:このAurora(n)とHD I/Oでは、聴いた印象がだいぶ違いますね。音の重心が大きく異なります。HD I/Oはサウンドの押し出しが強くて一歩前にいるように聴こえるんですけど、Aurora(n)の方がレンジが広くて、ローエンドがグッと出てくる分、重心が低く感じるんです。これは、ローがちゃんとキレイに出ているということですね。

Tak:HD I/Oが前に出て聴こえるのは、周波数特性が高域寄りだからかもしれません。

鈴木:Aurora(n)は低音がすごく低いところまでちゃんと出ていて、ベースとかの重心が低く聴こえるんですよ。今回試聴した曲って生ベースですか?

Tak:あれはソフトシンセの音ですね。

鈴木:それでも重心の位置がAurora(n)とHD I/Oとでは全然違いましたね。

伊東:高域もキレイに伸びています。無理して出しているわけではなくて、滑らかでナチュラルだし。むしろHD I/Oが無理にハイを出している感じかな。

Tak:それは僕も感じました。

伊東:もしAurora(n)を基準に考えると、HD I/Oはちょっと雑に聴こえますよね。ガサツなんだけど、押し出し感はあるからハデに聴こえる。それが色付けなのかもしれないけど。

Tak:こうして聴き比べてみると、HD I/Oにはハリがありますし、Aurora(n)には1つ1つの音がクリアに聴こえる高い分解能がありますね。

鈴木:ナチュラルなジャズやR&Bの歌録りにはすごくいいんじゃないかな。アコギとかの生楽器や弦楽器は、上から下までパキッと録れそう。

Tak:僕は録りとミックスで使うならどちらもありですけど、最終的なマスタリングでは断然Aurora(n)を選びたいかな。細かい音が聴こえてくるのがいいなと感じたんですよ。シックというか落ち着いたサウンドで聴こえるので。

鈴木:アコースティックな音のチェックとか、クラシックやジャズとか、生音成分のチェックにいいのかな。

Tak:僕も似た感覚を覚えました。曲によって使い分けてもいいですね。

伊東:サウンドが締まって聴こえるのもAurora(n)の方でしたね。HD I/Oよりセンターの定位がわかりやすいから、このスタジオでミックスの作業をするのなら、Aurora(n)を使いたいです。

鈴木:楽器の定位感がわかりやすいですよね。音が整理された感じがする。

伊東:ちなみに、レイテンシーを測ってみたら、サンプルレートが48kHzでバッファサイズが32の時に「3ms」ですね。

Tak:そんなもんですよね。ギターを弾いていた時も、レイテンシーは特に気にならなかったです。

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多くのスタジオに導入されているPro Toolsの定番的インターフェイス、アビッドHD I/Oとの比較試聴を行なった

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レコーディングでのチェックでは、Tak Miyazawa氏が演奏したアコースティックギターを、ノイマンのコンデンサーマイクU87で収録してADのクオリティを試聴した

ライブレコーディングの音質を確実に高品位にできる

──Aurora(n)は接続の方法が色々あって、Dante、HD、USB、Thunderboltから選べるのも特徴ですよね。

Tak:そのシステムはすごくいいと思います。昨今、どの端子でつなぐかって悩みどころじゃないですか。HD I/Oを買ったらDigiLinkから抜け出せないとか。もしAurora(n)の音が好きなら、あとは使いたい接続端子のカードに差し替えれば、それこそタワー型のMac Proを使っている人が、最新のMac Proにそのまま移行することも簡単にできますし。

伊東:環境に合わせて選べますよね。Windows PCだったらUSB、MacならThunderboltになるのかな。あと、PC上でAurora(n)のコントロールソフトを起動すると、入出力のリコールとか、多チャンネルのモニタリング設定ができますね。マルチで録ることを想定して作られているんだと思います。

──ミニSDカードを挿して、本体だけで録音することもできるみたいです。

Tak:それはライブレコーディングにすごく使えそう。

伊東:コンサートホールでの収録も良さそうですよね。確実にライブレコーディングの音質を高品位にできます。

Tak:インプットは32chまで拡張できるんでしたっけ? 32chあれば何でもいけますね。

伊東:16chあればドラムは録れますし。まあ、マイクプリは別途必要ですけど。

Tak:マイクプリを追加できるカードはあるんでしたっけ?

──これからリリースされる予定みたいです。

伊東:今回はAurora(n)をオーディオインターフェイスとして使いましたけど、マイクプリが入っていないのでラインレベルしか受けれないから、購入を考えている人はそこを注意した方がいいですね。だけど、今持っているオーディオインターフェイスよりナチュラルに録りたいとか、ナチュラルな音で聴きたいという人には、Aurora(n)はすごくオススメですよ。

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レコーディング時のマイクプリは、ニーヴの1073を使用

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Aurora(n)とHD I/OでレコーディングしたサウンドをPro Tools上で切り替えながらサウンドをチェック。また、Tak氏と伊東氏がミックスを手掛けた作品を再生して、DAのチェックも行なった

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