リンクス AD/DAコンバーター Aurora(n)シリーズ
リンクスの最新AD/DAコンバーターAurora(n)でボーカル録音をしてみた!
リンクスの最新AD/DAコンバーターAurora(n)でボーカル録音をしてみた!
2018/01/15
驚異的な音質の良さで話題になっているリンクスの新しいAD/DAコンバーター「Aurora(n)」シリーズ。その実力のほどを探るべく、エンジニアとミュージシャンによる試聴会を実施しました。エンジニア森田良紀氏のホームであるスタジオフォレスタで、エンジニアの米田 聖さん、ボーカリストの橘 哲夫さんと共にレコーディングと試聴を行ないます。
取材:本多理人(編集部) 写真:小貝和夫
製品概要
オープンプライス(以下は市場予想価格)
AURORA(n) 8 - USB=¥310,000 AURORA(n) 8 - HD=¥310,000
AURORA(n) 8 - TB=¥355,000 AURORA(n) 8 - DNT=¥365,000
AURORA(n) 16 - USB=¥430,000 AURORA(n) 16 - HD=¥430,000
AURORA(n) 16 - TB=¥475,000 AURORA(n) 16 - DNT=¥485,000
AURORA(n) 24 - HD=¥550,000 AURORA(n) 24 - TB=¥595,000
AURORA(n) 24 - DNT=¥605,000 AURORA(n) 32 - HD=¥670,000
AURORA(n) 32 - TB=¥715,000 AURORA(n) 32 - DNT=¥725,000
名器Auroraを再設計したマスタリンググレードの高音質なAD/DAコンバーター。USB、Thunderbolt、DANTEなど複数の接続方式でオーディオインターフェイスとしても使える。最大32チャンネル仕様まで用意されており、24ビット/192kHzまで対応。SynchroLock2による高い精度のクロックを誇り、3つのワードクロック出力を備えているため、小規模システムのクロックマスターとしても使用できる。デジタルI/Oを16チャンネル追加するモジュールLM-DIGが近日リリース予定。
【対応OS】Mac:OS X 10.6以降、Windows: XP/Vista/7/8/10 ●接続:Dante、USB、Thunderbolt、HD ●最大録音/再生チャンネル数:録音最大32、再生最大32 ●入出力端子:アナログイン×最大32、アナログアウト×最大32、ワードクロックイン×1/アウト×3 ●電源:AC100〜240V ●外形寸法:482.6(W)×43.2(H)×254(D)mm ●重量:約3.27kg
問:㈱フックアップ TEL:03-6240-1213 http://www.hookup.co.jp
試奏環境
試聴会に参加してくれたメンバー。右からエンジニアの森田良紀氏、エンジニアの米田 聖氏(studio MSR)、ボーカリストの橘 哲夫氏
森田氏が同スタジオのインターフェイスとして使用しているアポジーSymphony I/Oの初期モデル。今回は本機を基準に、Aurora(n)の試聴を行なった
モニタースピーカーは、森田氏のスタジオで一番大きいフォーカル・プロフェッショナルTrio6 Beを使用した
エンジニアとして聴きたい部分がAurora(n)は全部聴こえてくる
森田:昨晩、先に少しAurora(n)を聴いてみたんだけど、これはかなりいいかもしれない。最新の音って感じでスピードがすごく速いんですよ。音量感もハッキリしているし。あと、本体でSDカードに録音できるようになっているんです。
米田:それ、結構強みですよね。コンソールだとそういう製品はありますけど、こういうI/O(※)では珍しいし。
森田:うん、しかもPro Toolsに録音しながらSDカードにも同時録音ができるみたい。で、音を鳴らした時の本体の液晶表示がまたカッコいいんだ。大きなメーターが振れて未来感を感じるというか(試聴用のmoumoon「pride」を再生)。
橘:本当だ。液晶の解像度が高い感じですね。メーターがキレイだし動きも速い。
森田:音の解像度もめっちゃ高いですよ。
米田:例えるならば「音が止まらない」というか。音が漂っている感じがしますね。スピーカーから出ているという感じがしない。
森田:そうそう。マスタリングで使われているハイグレードなAD/DAみたいな音だね。リバーブとかの余韻もすごくキレイで、最後までしっかり聴こえるし。ローに関しても重心が低いというか。
橘:ローがドッシリしていますよね。
森田:リンクスの昔の機種は、ハイがもっとキラキラしたイメージだったけど。
米田:Aurora(n)はナチュラルなサウンドですね。
橘:音量感が大きくなったようにも聴こえます。あと、サイズが1Uに収まっているのがいいですよね。
森田:うん、Aurora(n)の32chモデルなら普通のレコーディングは事足りるし、リズム録りなら24chモデルでも足りるからね。米田くんも何か試聴用の音源を持ってきた?
米田:はい。ザ・スケートボード・キッズの「Temperature」です(Aurora(n)とアポジーSymphony I/Oで試聴)。
橘:音が全然違いますね。キックを一発聴いただけで違いがわかります。
森田:Aurora(n)の方が気持ちいい。
米田:出てくるサウンドの枠の大きさが違いますね。最初からこの環境で作業ができたら、ミックスが相当楽しくなりますよ。特にローの調整がもっと詰められそう。
森田:エンジニアとして聴きたい部分が全部聴こえるから、これならコンプのかけ方も変わってくると思うよ。
米田:全部変わりますね。リバーブのかけ方も変わります。ミックスの手法が変わるっていうか、マインドも変わるところがすごくいいですよね。
森田:ヘッドホンでも聴いてみる?
米田:はい。……ヘッドホンでもスピーカーで聴いた時と同じ印象ですね。ローがストレートに出る印象で、やっぱりサウンドの枠の大きさが違います。
森田:DAが優秀なんだね。クロックアウトが3つ付いていて、クロックマスターとしても使えるみたい。内蔵のクロックが優秀なのは一番理想的だよね。
※I/O=インプット/アウトプットの略で、入出力のこと。「アイオー」と読む。AD/DAコンバーターやオーディオインターフェイスなど、オーディオ入出力機器の略称として使われている
録音のテストでは、チャンドラー・リミテッドのマイクプリ内蔵チューブマイクREDD MICROPHONEをセットし、橘氏が自身の手掛けた楽曲を歌唱した
プリアンプは、ニーヴV1コンソールのプリアンプを内蔵しているコニシスNVKD01のラインインを使用
プリアンプを出た信号に、チューブテックCL-1Bで薄くコンプをかけ、エンピリカルラボLil FREQでローカットとEQ処理、ディエッサーを施し、ウェス・オーディオTimbreで再度コンプをかけて録音した
PCMの音じゃない感じ。DSDの音みたいな滑らかさがある
森田:次に歌を録ってみましょう。(ボーカル録音のため、橘氏がブースに入る)。橘さん、モニター聴こえますか?
橘:はい! あっ、モニター音が全然違う!
森田:しゃべり声の時点で違いますね。
橘:すごいクリアです。音が近いです。これはテンションが上がりますね。エコーも増えたんじゃないかっていうくらい、密度というか解像感が違う。すごい!
森田:録ってみましょう!(Aurora(n)とSymphony I/Oでレコーディング)。
橘:Aurora(n)の方が歌っていて全然気持ちいい!
森田:こんなに違うのか……。
米田:PCMの音を聴いている感じがしないですね。
森田:DSDみたいな滑らかさがあるよね。レンジの広さも余裕がある感じ。
橘:マイクを変えたんじゃないかって思うくらい違います。I/Oでこんなに音が変わるなんて知らなかったです。
森田:他のI/Oはここまで差はなかった気がするんですよ。Aurora(n)だけが飛び抜けて違うというか。
橘:声を張った時のイヤなピーキーさが少ないんですよ。これは欲しくなります!
森田:欲しくなるよね! 語尾のニュアンスまでしっかり聴こえる。
橘:ディテールがちゃんと出てきますね。
森田:他のI/Oだと少し埋もれたりとか、ミックスで調整が必要なことが多いんですけど、Aurora(n)はその必要がない。
橘:Symphony I/Oだと声を張る時にちょっとマイクから離れたくなる感じだったんですけど、Aurora(n)はその必要がないです。なので、サビに入ってもマイクとの距離を変えずに歌えましたね。
森田:シンガーのその意見は重要ですね。
橘:自分の声が良くなったと思うくらい。
米田:それ、すごくいいことですね。
森田:声を張った時にAurora(n)は音の立ち上がりからちゃんと付いてきて、他のI/Oはちょっと遅れるような感じがする。そんなはずはないんだろうけど、そういう感じに聴こえるというか。I/Oでテンションが上がるモデルってもう出てこないと思っていたけど、これはすごい。リズムとかも録ったら最高だと思う。
米田:弦とかも録ってみたい。ハイのピークがあまりないから良さそうです。
森田:チェロとかのローも埋もれずに聴こえそうだもんね。
米田:時代を飛び越えた感じがしますね。
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