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【注目のスピーカー・ヘッドホン・イヤホンをプロがレビュー】オーディオテクニカ ATH-M50x

【注目のスピーカー・ヘッドホン・イヤホンをプロがレビュー】オーディオテクニカ ATH-M50x

2018/01/16


周波数バランスが良くて音程が聴き取りやすいボーカルのレコーディングに最適なサウンド

オーディオテクニカ
ATH-M50x

オープンプライス(¥17,000前後)
問:㈱オーディオテクニカ
TEL:03-6801-2080
https://www.audio-technica.co.jp/mi/
 

試聴・文:堀 豊(STUDIO21)

 

第一印象ですが、イヤーパッドの肌触りが良く、感触はある程度硬めで、イヤーカップの密閉性が高いために、しっかりとした装着感があります。そのおかげで音漏れも少なく、スピーカーを同時に再生していてもヘッドホン側の音質の変化をあまり感じません。

サウンドは各帯域のバランスが良好で、特に100Hzから300Hzくらいの低域にいるべースとキックの成分やボーカルの基音の成分がしっかりと前に出てきます。そのためか、センター定位の音がキレイに揃うという印象を受けました。また、音圧への耐性がとても高くて、ある程度音量を上げても音が潰れることなく再生できます。

試しにボーカルのレコーディングに使ってみましたが、ローからミッドまでしっかり出ていて、それでいてハイはキンキンしないので、音数が多いオケの中でも音程が取りやすいのが特徴です。また、先述の通り密閉性も高いため、オケや歌の音量を上げても外への音漏れが少なく、マイクへの被りを抑えられるため、しっかりとした音で録音できました。ボーカルを自宅で録るユーザーにオススメです。なお、イヤーカップは左右それぞれ前後に90度回転することができるので、DJプレイをする際も便利です。
 

【製品概要】
「ATH-M50x」は、大口径の強磁力45mmCCAWボイスコイルドライバにより、情報量豊かな高解像度再生が可能な密閉型のモデルだ。モニターヘッドホンならではの広帯域かつフラットな特性を持っており、解像度の高いモニタリングを実現。また、遮音性に優れた楕円形状のイヤーカップを採用しており、ミックスなどでの長時間の使用でも快適なモニタリングができる。

【スペック】
●形式:密閉型 ●再生周波数帯域:15Hz〜28kHz ●出力音圧レベル:99dB/1mW ●インピーダンス:38Ω ●ケーブル:着脱式=1.2m(カール)、3m(ストレート)、1.2m(ストレート) ●重量:280g(ケーブルを含む)
 

 

オーディオテクニカ:その他の注目モデル

ATH-M70x
オープンプライス(¥31,000前後)

「ATH-M70x」は、高解像度で歪み感の少ないパワフルなサウンドがダイレクトに耳に伝わってくる、スタジオモニター用の密閉型モデルだ。クリアかつ迫力のある重低音から、超高域までの再現力に優れており、耳との密閉度が非常に高い高遮音構造になっているため、外からの音の影響を受けやすいPAの現場や、ドラマーのモニター用ヘッドホンとしてもオススメだ。なお、コードは着脱式で、3種類のコードを付属している。

ATH-M40x
オープンプライス(¥10,000前後)

直径40mmの強磁力CCAWボイスコイルドライバを搭載した「ATH-M40x」は、上位機種譲りの本格的な密閉型スタジオモニター・ヘッドホンで、広帯域でフラットな音響特性は、どんなジャンルの音楽にも対応できる。また、遮音性が高く、長時間の使用でも快適な装着感を有しているので、音楽制作のモニタリング用としてだけでなく、普段のリスニングでも高音質なサウンドで音楽を聴きたいというユーザーにも支持されている。

ATH-R70x
オープンプライス(¥36,000前後)

「ATH-R70x」は、同社のプロ向けのモデルとしては初となる、オープンエアー型として開発されたモデルだ。全帯域において非常にフラットな特性を持っており、高解像度な音像とバランスのいいステレオ感は、まるでスタジオのモニタースピーカーの音を聴いているかのようで、空気感を含んだ自然で繊細なサウンドを再生する。また、通気性のいいイヤーパッドと新3D方式ウイングサポートを採用し、快適な装着感を実現している。
 

 

「スピーカー」「ヘッドホン」「イヤホン」の特徴

今時の音楽制作では「スピーカー」「ヘッドホン」「イヤホン」をうまく使い分けるのが常識!

打ち込みやレコーディング、ミックスを行なう際に使用するモニタースピーカー、ヘッドホン、イヤホンには、それぞれどんな違いがあるのでしょうか。また、どのようなシチュエーションでどれをチョイスすればいいのでしょうか。自身も3つを使い分けているというエンジニアの篠崎恭一氏にポイントを教えてもらいました。
 

スピーカー、ヘッドホン、イヤホンは、「音を聴くための機器」という意味では共通ですが、同じ楽曲でもどの機器で聴くかによって、サウンドの印象は変わってきます。

一番自然(本来の音)に近いサウンドが得られるのはスピーカーでしょう。音の出口と耳の間に十分な空間があり、空気が振動している普段から聴き慣れた音を再生することができます。プロが楽曲制作やミックスをする際も、基本的にはスピーカーを基準にして音が作られていますし、耳への負担が少ないのが特徴です。その反面、部屋の構造などの環境的な影響を受けやすく、細かいニュアンスや音の輪郭などがボヤけやすい傾向もあるので、それらを考慮して使用する必要があります。

ヘッドホンはスピーカーを直接耳に押し当てているような印象の音質になります。空気感はスピーカーよりもかなり減りますが、外部環境の影響を受けにくく、細かいニュアンスなどがわかりやすいので、エディットの際などに重宝します。しかし、自然な空気感がないので、空間系エフェクトの調節が難しく感じることもあります。

イヤホンに関しては、スピーカーユニットをほぼ耳の中に入れているような状態になります。外部からの影響はほとんど受けず、密閉性も高いため、雑音が多い環境でもしっかりと音を聴くことができます。この特徴を活かして、ステージのモニター用として使用することも多く、最近では自分の耳型を採取してピッタリと形に合わせたものを作ってくれるメーカーもあります。モニターの中では一番シビアに音の判断ができ、細かいニュアンスも手に取るようにわかる反面、自然な響きとはかなり遠く、そのサウンドが味気なく感じる場合もあります。また、ユニットが鼓膜に近い部分に来るので、耳への負担も大きくなります。

しかし、それぞれの特徴を把握して、目的に応じて使い分ければ、より効率良く作業を行なうことができ、充実した制作環境を構築できます。もしまだ持っていないものがあったらぜひ導入して、宅録ライフをもっと充実させましょう。
 

モニタースピーカー
【メリット】 空気を通った自然な音を聴くことができ、耳への負担も少ない。また、ヘッドホンとイヤホンは、右側の音は左耳では聴けず、左側の音は右耳で聴くことができないが、スピーカーは自然な定位感でサウンドをチェックできる。

【デメリット】 周囲の壁や天井、デスクの天板などによる影響を受けやすく、ルームチューニングが必要になる。また、ある程度大きな音が鳴らせる環境でないと使えない。
 

ヘッドホン
【メリット】 プレイの細かいニュアンスやエフェクトのかかり具合が非常にわかりやすく、ミックスで細部の確認をする際に重宝する。また、ボーカルなどのレコーディングでオケを聴く際には必須だ。

【デメリット】
スピーカーのような自然な空気感がなく、リバーブなどの調整がやりにくいケースがある。また、長時間装着していると耳が痛くなったりすることもあり、ケーブルの取り回しが煩わしいのも欠点だ。
 

イヤホン
【メリット】 耳の穴にピッタリとフィットするので遮音性が非常に高く、外からの影響を受けにくい。また、プレイヤーの細かいニュアンスもしっかりと聴き取ることができる。

【デメリット】 耳に直接入れるという構造上、鼓膜にかかる負担が大きい。また、入れている位置が外側にズレると、低域の聴こえ方が変わってしまうので、注意が必要だ。

 

 

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