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【注目のスピーカー・ヘッドホン・イヤホンをプロがレビュー】CTM(Clear Tune Monitors) VS-4

【注目のスピーカー・ヘッドホン・イヤホンをプロがレビュー】CTM(Clear Tune Monitors) VS-4

2018/01/17


高域のイヤなギラつき感がほとんどなく、豊かで暖かい低域を再生可能

 

CTM(Clear Tune Monitors)
VS-4

オープンプライス(¥70,000前後)

問:テックウインド(株)

info@tekwind.co.jp


試聴・文:篠崎恭一(SLOTH MUSIC)

 


装着してすぐに遮音性の高さがわかる、安心感のあるモデルです。実際、しっかりと耳にフィットして、ほとんど外音の影響を受けません。遮音性は高いのですが、それほど圧迫感もないため、違和感なく使用できます。ケーブルが柔らかい撚り線なので、取り回しがいいのもポイントです。

サウンドはメーカーもうたっている通り、ウォームな印象です。イヤホンにしては重心が低めに設定されており、ベースなどの低域楽器のニュアンスもしっかりと聴き取ることができました。ローが多めなのですが、音抜けが悪いということは一切なく、比較的同じ帯域に集まりがちなボーカルやブラス、コーラスなどもしっかりと聴き分けられる、分離の良さも兼ね備えています。また、イヤホンでありがちな高域のイヤなギラつき感がほとんどないため、長時間使用しても、聴覚への負担と疲労は少なそうです。

さらに、小さめの音量で聴いても音の印象が大きく変わらないのも特徴で、左右の分離感や低域の表現力などは残したまま、単純に音量だけを下げられます。ベーシストのステージモニターとしてもオススメしたいですね。
 

 

【製品概要】
「VS-4」は、内部に4基のバランスドアーマチュア・ドライバを搭載しており、20Hz~16.5kHzという広い周波数帯域を誇っているモデルだ。暖かくてパワフルかつ、中域が豊かなサウンドが特徴で、ミックスでのギターやボーカルなどの音作りや、エフェクトのチェックにも最適だ。まるでスピーカーを鳴らしているような耳に負担がかからないサウンドは、長時間の作業にも適している。

【スペック】
●タイプ:バランスド・アーマチュア型 ●ドライバ:バランスドアーマチュア・ドライバ×4 ●周波数特性:20Hz〜16.5kHz ●インピーダンス:18Ω/1kHz ●感度:119dB/1mW ●ケーブル長:1.24m ●重量:31g
 

「スピーカー」「ヘッドホン」「イヤホン」の特徴

今時の音楽制作では「スピーカー」「ヘッドホン」「イヤホン」をうまく使い分けるのが常識!

打ち込みやレコーディング、ミックスを行なう際に使用するモニタースピーカー、ヘッドホン、イヤホンには、それぞれどんな違いがあるのでしょうか。また、どのようなシチュエーションでどれをチョイスすればいいのでしょうか。自身も3つを使い分けているというエンジニアの篠崎恭一氏にポイントを教えてもらいました。
 

スピーカー、ヘッドホン、イヤホンは、「音を聴くための機器」という意味では共通ですが、同じ楽曲でもどの機器で聴くかによって、サウンドの印象は変わってきます。

一番自然(本来の音)に近いサウンドが得られるのはスピーカーでしょう。音の出口と耳の間に十分な空間があり、空気が振動している普段から聴き慣れた音を再生することができます。プロが楽曲制作やミックスをする際も、基本的にはスピーカーを基準にして音が作られていますし、耳への負担が少ないのが特徴です。その反面、部屋の構造などの環境的な影響を受けやすく、細かいニュアンスや音の輪郭などがボヤけやすい傾向もあるので、それらを考慮して使用する必要があります。

ヘッドホンはスピーカーを直接耳に押し当てているような印象の音質になります。空気感はスピーカーよりもかなり減りますが、外部環境の影響を受けにくく、細かいニュアンスなどがわかりやすいので、エディットの際などに重宝します。しかし、自然な空気感がないので、空間系エフェクトの調節が難しく感じることもあります。

イヤホンに関しては、スピーカーユニットをほぼ耳の中に入れているような状態になります。外部からの影響はほとんど受けず、密閉性も高いため、雑音が多い環境でもしっかりと音を聴くことができます。この特徴を活かして、ステージのモニター用として使用することも多く、最近では自分の耳型を採取してピッタリと形に合わせたものを作ってくれるメーカーもあります。モニターの中では一番シビアに音の判断ができ、細かいニュアンスも手に取るようにわかる反面、自然な響きとはかなり遠く、そのサウンドが味気なく感じる場合もあります。また、ユニットが鼓膜に近い部分に来るので、耳への負担も大きくなります。

しかし、それぞれの特徴を把握して、目的に応じて使い分ければ、より効率良く作業を行なうことができ、充実した制作環境を構築できます。もしまだ持っていないものがあったらぜひ導入して、宅録ライフをもっと充実させましょう。
 

モニタースピーカー
【メリット】 空気を通った自然な音を聴くことができ、耳への負担も少ない。また、ヘッドホンとイヤホンは、右側の音は左耳では聴けず、左側の音は右耳で聴くことができないが、スピーカーは自然な定位感でサウンドをチェックできる。

【デメリット】 周囲の壁や天井、デスクの天板などによる影響を受けやすく、ルームチューニングが必要になる。また、ある程度大きな音が鳴らせる環境でないと使えない。
 

ヘッドホン
【メリット】 プレイの細かいニュアンスやエフェクトのかかり具合が非常にわかりやすく、ミックスで細部の確認をする際に重宝する。また、ボーカルなどのレコーディングでオケを聴く際には必須だ。

【デメリット】
スピーカーのような自然な空気感がなく、リバーブなどの調整がやりにくいケースがある。また、長時間装着していると耳が痛くなったりすることもあり、ケーブルの取り回しが煩わしいのも欠点だ。
 

イヤホン
【メリット】 耳の穴にピッタリとフィットするので遮音性が非常に高く、外からの影響を受けにくい。また、プレイヤーの細かいニュアンスもしっかりと聴き取ることができる。

【デメリット】 耳に直接入れるという構造上、鼓膜にかかる負担が大きい。また、入れている位置が外側にズレると、低域の聴こえ方が変わってしまうので、注意が必要だ。

 

 

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