いい音で歌が録れる注目セットをレビュー!
【ボーカル録音アイテム大集合】マイクテック MK300 、 ESi U22 XT、ステッドマン Proscreen101
【ボーカル録音アイテム大集合】マイクテック MK300 、 ESi U22 XT、ステッドマン Proscreen101
2018/03/14
「歌ってみた」に端を発する「歌い手」の活躍や、「nana」の隆盛など、近頃は宅録やバンド活動をしていない人も自分の歌を録音する機会が増えています。そこで、本特集では自宅でも歌をいい音で録ることができる、マイクを中心としたボーカル録音用のセットをチョイスし、音質をチェックしてみました。また、今回のチェックでは、人気の歌い手、TOUYUさんに協力してもらっています。
ESi U22 XT
歌い手のニュアンスを忠実に再現でき、全ジャンルに対応可能
【マイク】
マイクテックMK300
¥40,000
【オーディオインターフェイス】
ESi U22 XT
¥19,800
【ポップガード】
ステッドマンProscreen101
¥7,500
問:日本エレクトロ・ハーモニックス㈱
TEL:03-3232-7601
http://www.electroharmonix.co.jp
試聴:篠崎恭一(SLOTH MUSIC)
つや消しのブラックがいかにも本格派の雰囲気を漂わせているマイクと、ポップなオレンジカラーのオーディオインターフェイスという組み合わせが面白いですね。
まずマイクの「MK300」ですが、音の重心が高めで、芯のあるソリッドなサウンドが特徴です。歌のニュアンスの部分、例えば強弱だとか息遣いを、しっかりと録ることができました。スピード感が速いうえに音がつぶれにくいのも特徴で、ダイナミクスを十分に再現してくれるので、歌い手さんも思いっきり歌えますし、感情を入れやすいと思います。そのままでもいい音なんですけど、逆に音をイメージ通りに変えたい時にも、EQやコンプでの調整がやりやすいと思います。
インターフェイスの「U22 XT」は、サウンドがすごく素直でクセがなくて、どんなマイクを挿しても、それぞれの特性を活かしてくれると思います。今回のテストでは、MK300のキャラクターをそのまま増幅しているような印象を受けました。優等生的な組み合わせなので、すべてのジャンルに対応できますが、例えばEDMといった4つ打ち系や、そういった要素を取り入れている今時のロックのボーカルとかには、特にピッタリだと思います。
それと、「Proscreen101」は、「迷ったらこれを選べば間違いない」という、プロの間でも定番中の定番のボップガードで、大抵のスタジオに導入されている、信頼性の高いモデルです。
TOUYU'S VOICE
自分の生の声に一番近い音で録れるという印象ですね。マイクで録るということは、声が電気信号やデジタル信号に変換されるので、多かれ少なかれ声質が変わるのですが、このマイクは変化が少ないですね。それでいて、ミッドからハイの間のおいしいところがちゃんと出てくれて、自分らしい音でカッコ良く録れました。自分はハイトーンが特徴なので、これで録った後にミックスで少しローを調整すれば、完璧になると思います。
※今回録音したTOUYUさんのテイクは以下で試聴できます。
http://www.sounddesigner.jp/index18_03.shtml
製品概要
【MK300製品概要】
「MK300」はラージダイアフラムを搭載した、ツヤ消しブラック仕上げが特徴のコンデンサーマイクだ。20Hz〜20kHzというワイドな周波数特性を誇っており、暖かい低域と、スウィートでシルキーな高域によるナチュラルな収音を行なうことが可能。ボーカル以外にも、アコギやドラムなどの生楽器をはじめ、幅広い用途で活用できる。
【MK300スペック】
●指向性:単一指向性/無指向性/双指向性 ●最大入力SPL:137 dB ●感度:-35dBV/Pa ●周波数特性:20Hz〜20kHz ●等価ノイズレベル:15dB ●外形寸法:長さ=215mm/直径=55mm ●重量:750g
【Proscreen101製品概要】
Proscreen101は、高域を失わずに原音に忠実な録音ができる、多くのプロに愛用されているポップガードだ。スクリーン径は117mm、グースネック込みの寸法は500mm、重量165g。
【U22 XT製品概要】
U22 XTは、高音質のスピーカーで有名なESi社が開発した2イン/2アウトのオーディオインターフェイスだ。Win/Macという代表的なOSに加え、Linuxでの使用にも対応。なお、ビットウィグ社のDAWソフト「Bitwig 8-Track」が付属している。外形寸法は175(W)×44(H)×120(D)mmで、重量は490g。
試聴者プロフィール
篠崎恭一 [シノザキ キョウイチ/エンジニア]
サウンドクリエイターやトラックメイカー、レコーディングエンジニア、PAエンジニアとして幅広く活動する傍ら、DAWの豊富な知識を活かし、GRANRODEO、IDOL M@STER、長渕 剛などのマニピュレーターとしても活動。なお、専門学校で後進の指導にも力を入れている。
TOUYU [トウユ/歌い手]
2009年に、動画共有サイトに自身で歌唱した動画を初投稿。高音から低音までを幅広く駆使した歌声と、 変幻自在の卓越した表現力を武器に、これまで投稿した歌唱動画、また派生動画の総再生回数は5千万回を超える。3月21日にボカロ・カバーアルバム『セカンドハート』の発売が決定した。
今回の試聴環境
今回の製品試聴は、エンジニアの篠崎氏が普段使っているSLOTH STUDIOで行ないました。マイク以外にリフレクションフィルターの性能も検証するため、レコーディングブースではなく、あえて響きのある部屋にそれぞれのセットを設置し、TOUYUさんが歌ってレコーディングした音源を再生して音質をチェックしました。なお、オーディオインターフェイス、リフレクションフィルター、ポップガードのないセットについては、それぞれSLOTH STUDIO所有のものを使ってチェックと録音を行なっています。
ボーカル録音に必要なアイテム
ボーカルを録音するには、マイク以外にどんな機材を用意すればいいのでしょうか。また最近では、一般的な住宅環境でもクオリティの高いサウンドで歌を録ることができる、便利なアイテムが数多くあります。エンジニアの篠崎恭一さんに、ボーカル録音に必要なアイテムを挙げてもらうと共に、それぞれの役割や効果などについて解説してもらいました。
◉マイク
歌の録音では、基本的に「コンデンサーマイク」を使用します。なぜならコンデンサーマイクは、ダイナミックマイクよりはるかに高い感度とレンジの広さを持っていて、歌い手の繊細なニュアンスを余すことなく録音できるからです。
人間の声はニュアンスの使い分けによる豊かな表現力が魅力なので、ボーカル録音にはブレスやウィスパー、繊細な発音など、ダイナミックマイクでは捉えきれない細かい部分まで拾ってくれるコンデンサーマイクを使いましょう。
◉リフレクションフィルター
近年、マイク録音をする際の便利アイテムとして、注目を集めているのが「リフレクションフィルター」です。
外側は穴の空いた金属と吸音材、内側はウレタンなど吸音性の高い材質を使っている場合が多く、マイクの背面を覆うように設置することで、周辺からの反射音やノイズを吸収します。多くのメーカーから様々なタイプのモデルが発売されていますが、実際に楽器店の店頭などでサイズや重量、効果を確かめてみてから選ぶといいでしょう。
◉ポップガード
「ポップガード」とは、録音をする際に口とマイクの間に設置するアイテムで、材質は金属や布などが多く、様々な形状のものがあります。ポップガードを使用することにより、マイクに直接強い息が当たることを防ぎ、「ポップノイズ」や「フカレ」と呼ばれる雑音の発生を防ぐことができます。
様々なタイプがありますが、マイクスタンドに設置でき、セッティングの自由度が高いグースネック付きのモデルがオススメで、プロの現場でもよく使われています。
◉オーディオインターフェイス
歌をパソコンにインストールしてあるDAWソフトに録音する際、必須なのが「オーディオインターフェイス」です。
その役割は、アナログの信号をデジタルに変換し、DAWソフトに送ることにあります。多くの製品にはマイクプリ(アンプ)が搭載されており、マイクの微細な信号を増幅することで、十分な音量で録音することができます。
◉ショックマウント
コンデンサーマイクは非常に感度が高いため、繊細な音が録れる反面、ノイズなどを拾いやすいという性質があります。そのノイズの伝達を防ぐために便利なツールのひとつが「ショックマウント」です。これはゴムなどの効果によってマイク自体に振動が伝わることを防止し、リズムを取っている足音など、主に床からマイクスタンドを伝わってくるノイズを軽減します。
◉マイクスタンド
マイクで録音する際、しっかりと安定した「マイクスタンド」を使用することにより、床からの振動の伝達を軽減できる他、マイクと口との距離感を常に一定に保つことができます。また、リフレクションフィルターやポップガードも取り付けられます。
◉マイクケーブル
マイクで録音する際に必ず必要になるのが、マイクと各種機材を接続するケーブルで、通常「XLR端子」という端子を持つ「マイクケーブル」が使われます。あまりに長いものは取り回しがしにくく、音質劣化の原因にもなるので、宅録では3〜7mくらいのものを使いましょう。
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