いい音で歌が録れる注目セットをレビュー!

【ボーカル録音アイテム大集合】ペルーソP-87、SPL Creon Model1412、プライマコースティックVoxGuard VU

【ボーカル録音アイテム大集合】ペルーソP-87、SPL Creon Model1412、プライマコースティックVoxGuard VU

2018/03/15


「歌ってみた」に端を発する「歌い手」の活躍や、「nana」の隆盛など、近頃は宅録やバンド活動をしていない人も自分の歌を録音する機会が増えています。そこで、本特集では自宅でも歌をいい音で録ることができる、マイクを中心としたボーカル録音用のセットをチョイスし、音質をチェックしてみました。また、今回のチェックでは、人気の歌い手、TOUYUさんに協力してもらっています。
 

ペルーソP-87、プライマコースティックVoxGuard VU 
 

SPL Creon Model1412
 

 

プロがスタジオで録っているサウンドがDTM環境で手に入る!

【マイク】
ペルーソP-87

¥148,000

【リフレクションフィルター】
プライマコースティックVoxGuard VU

オープンプライス(¥15,800前後)

【オーディオインターフェイス】
SPL Creon Model1412

¥67,500

問:㈱エレクトリ
TEL:03-3530-6181
http://www.electori.co.jp

試聴:篠崎恭一(SLOTH MUSIC)
 


まず「P-87」ですが、私がいつも使っているノイマンのU87に似ているデザインなので、安心感がありますね。音の方もU87に近くて、周波数レンジが広いうえに偏りもなく、音楽的に気持ち良く歌が聴こえてきます。特に色付けもなくて、スピード感もちょうどいいですし、小さな音から大きな音まで安定してキレイに拾ってくれるので、シンガーもニュアンスを出しやすいと思います。しかも、わざとらしさがなくて、ごく自然に無理なく歌声を拾ってくれるのに、録り音に存在感がしっかりとある点も好印象でした。

「VoxGuard VU」は、正面に窓があるのが特徴です。本来は歌い手とエンジニアがコミュニケーションを取る目的のものらしいのですが、歌詞カードをフィルターの外に置いて見るのにも使えますし、映像を見ながらセリフを録るアフレコの時にも便利そうですね。

「Creon」はスイッチ類がLEDライト付きなので、視認性が良くて使いやすかったです。ルックスはポップなんですけど、マイクの持つ特性をそのまましっかり素直に出してくれるという本格派で、いい意味で裏切られましたね。このセットを使えば、私達プロがレコーディングで録る定番のサウンドが、宅録で得られます。
ジャンルは選びませんが、トラック数が多いものよりも音数が少ないジャンル、例えばアコースティック系の楽曲の方が、このセットの特性を活かせると思います。
 

TOUYU'S VOICE

 

 このセットは、とにかくボーカルがキレイに録れます。声のひとつひとつの粒がしっかりと出ていますし、低域から高域までと、小さい声から大きい声まで、どちらのバランスもとてもいいです。しかも、歌っていてテンションが上がってくるんですよ。歌い手の微妙な表現がしっかりと録音できて、特にファルセットで、他のマイクだったらこぼれてしまうようなニュアンスまで拾ってくれるので、本当に安心して歌うことができました。

※今回録音したTOUYUさんのテイクは以下で試聴できます。
http://www.sounddesigner.jp/index18_03.shtml
 

製品概要

【P-87製品概要】
「P-87」は、アメリカの新興マイクメーカーであるペルーソが、世界中のスタジオでボーカル録音に使われている名器「ノイマンU87」のサウンドを再現することを目指して開発したコンデンサーマイクだ。大口径のダイアフラムを搭載し、シンガーやプレイヤーの繊細なニュアンスを損なわずに、ナチュラルなサウンドで収音できる。

【P-87スペック】
●指向性:単一指向性/無指向性/双指向性 ●最大入力SPL:152dB ●感度:10 mV/Pa ●周波数特性:20Hz〜22kHz ●出力インピーダンス:200Ω ●外形寸法:長さ=228mm/直径=56mm   ●重量:584g 

【VoxGuard VU製品概要】
部屋の反射音などの混入を最小限に抑え、クリアな録音を実現する、小窓が付いているのが特徴のリフレクションフィルター。寸法は457(W)×381(H)×190(D)mmで、重量は1.2kg。

【Creon Model1412製品概要】
プロ用録音機器を数多く生産しているSPL社が開発した、24ビット/192kHzに対応している卓上タイプのオーディオインターフェイス。複数のモニター機器をつないで、モニターコントローラーとしても使用できる。寸法は260(W)×175(D)×67(H)mm(ソケット、コントロールノブを除く)で、重量は2.0kg。
 

試聴者プロフィール

 

篠崎恭一 [シノザキ キョウイチ/エンジニア]
サウンドクリエイターやトラックメイカー、レコーディングエンジニア、PAエンジニアとして幅広く活動する傍ら、DAWの豊富な知識を活かし、GRANRODEO、IDOL M@STER、長渕 剛などのマニピュレーターとしても活動。なお、専門学校で後進の指導にも力を入れている。

TOUYU

 

TOUYU [トウユ/歌い手]
2009年に、動画共有サイトに自身で歌唱した動画を初投稿。高音から低音までを幅広く駆使した歌声と、 変幻自在の卓越した表現力を武器に、これまで投稿した歌唱動画、また派生動画の総再生回数は5千万回を超える。3月21日にボカロ・カバーアルバム『セカンドハート』の発売が決定した。
 

今回の試聴環境

今回の製品試聴は、エンジニアの篠崎氏が普段使っているSLOTH STUDIOで行ないました。マイク以外にリフレクションフィルターの性能も検証するため、レコーディングブースではなく、あえて響きのある部屋にそれぞれのセットを設置し、TOUYUさんが歌ってレコーディングした音源を再生して音質をチェックしました。なお、オーディオインターフェイス、リフレクションフィルター、ポップガードのないセットについては、それぞれSLOTH STUDIO所有のものを使ってチェックと録音を行なっています。
 

ボーカル録音に必要なアイテム

ボーカルを録音するには、マイク以外にどんな機材を用意すればいいのでしょうか。また最近では、一般的な住宅環境でもクオリティの高いサウンドで歌を録ることができる、便利なアイテムが数多くあります。エンジニアの篠崎恭一さんに、ボーカル録音に必要なアイテムを挙げてもらうと共に、それぞれの役割や効果などについて解説してもらいました。
 

 

◉マイク
歌の録音では、基本的に「コンデンサーマイク」を使用します。なぜならコンデンサーマイクは、ダイナミックマイクよりはるかに高い感度とレンジの広さを持っていて、歌い手の繊細なニュアンスを余すことなく録音できるからです。
人間の声はニュアンスの使い分けによる豊かな表現力が魅力なので、ボーカル録音にはブレスやウィスパー、繊細な発音など、ダイナミックマイクでは捉えきれない細かい部分まで拾ってくれるコンデンサーマイクを使いましょう。

◉リフレクションフィルター
近年、マイク録音をする際の便利アイテムとして、注目を集めているのが「リフレクションフィルター」です。
外側は穴の空いた金属と吸音材、内側はウレタンなど吸音性の高い材質を使っている場合が多く、マイクの背面を覆うように設置することで、周辺からの反射音やノイズを吸収します。多くのメーカーから様々なタイプのモデルが発売されていますが、実際に楽器店の店頭などでサイズや重量、効果を確かめてみてから選ぶといいでしょう。

◉ポップガード
「ポップガード」とは、録音をする際に口とマイクの間に設置するアイテムで、材質は金属や布などが多く、様々な形状のものがあります。ポップガードを使用することにより、マイクに直接強い息が当たることを防ぎ、「ポップノイズ」や「フカレ」と呼ばれる雑音の発生を防ぐことができます。
様々なタイプがありますが、マイクスタンドに設置でき、セッティングの自由度が高いグースネック付きのモデルがオススメで、プロの現場でもよく使われています。

◉オーディオインターフェイス
歌をパソコンにインストールしてあるDAWソフトに録音する際、必須なのが「オーディオインターフェイス」です。
その役割は、アナログの信号をデジタルに変換し、DAWソフトに送ることにあります。多くの製品にはマイクプリ(アンプ)が搭載されており、マイクの微細な信号を増幅することで、十分な音量で録音することができます。

◉ショックマウント
コンデンサーマイクは非常に感度が高いため、繊細な音が録れる反面、ノイズなどを拾いやすいという性質があります。そのノイズの伝達を防ぐために便利なツールのひとつが「ショックマウント」です。これはゴムなどの効果によってマイク自体に振動が伝わることを防止し、リズムを取っている足音など、主に床からマイクスタンドを伝わってくるノイズを軽減します。

◉マイクスタンド
マイクで録音する際、しっかりと安定した「マイクスタンド」を使用することにより、床からの振動の伝達を軽減できる他、マイクと口との距離感を常に一定に保つことができます。また、リフレクションフィルターやポップガードも取り付けられます。

◉マイクケーブル
マイクで録音する際に必ず必要になるのが、マイクと各種機材を接続するケーブルで、通常「XLR端子」という端子を持つ「マイクケーブル」が使われます。あまりに長いものは取り回しがしにくく、音質劣化の原因にもなるので、宅録では3〜7mくらいのものを使いましょう。
 

 

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