いい音で歌が録れる注目セットをレビュー!

【ボーカル録音アイテム大集合】アストンマイクロフォンAston Spirit、ローランドRubix 24、アストンマイクロフォンAston HALO

【ボーカル録音アイテム大集合】アストンマイクロフォンAston Spirit、ローランドRubix 24、アストンマイクロフォンAston HALO

2018/03/16


「歌ってみた」に端を発する「歌い手」の活躍や、「nana」の隆盛など、近頃は宅録やバンド活動をしていない人も自分の歌を録音する機会が増えています。そこで、本特集では自宅でも歌をいい音で録ることができる、マイクを中心としたボーカル録音用のセットをチョイスし、音質をチェックしてみました。また、今回のチェックでは、人気の歌い手、TOUYUさんに協力してもらっています。
 

アストンマイクロフォンAston Spirit 、アストンマイクロフォンAston HALO
 

ローランドRubix 24
 

 

ビンテージ感と現代的なニュアンスを併せ持った音楽的なサウンド

【マイク】
アストンマイクロフォンAston Spirit

オープンプライス(¥50,000前後)

【リフレクションフィルター】
アストンマイクロフォンAston HALO

オープンプライス(¥33,000前後)

【オーディオインターフェイス】
ローランドRubix 24

オープンプライス(¥24,000前後)

問:ローランド㈱お客様相談センター
TEL:050-3101-2555
https://www.roland.com/jp/

試聴:篠崎恭一(SLOTH MUSIC)
 


「Aston Spirit」は、どちらかと言うと重心がやや下の方にあるんですけど、ハイもよく伸びて、かつウォームなサウンドで録れました。音にスピード感もあって、ビンテージ風の暖かさと、最近の機材ならではのシャープな面のバランスがうまく取れているという印象を受けました。「聴いていて気持ちいい音で録ろう」という、いい意味で音楽的な色付けがあって、これはぜひ現場で使ってみたいですね。あと、歌い手さんのブレスの強弱とかの表現をしっかりと拾うのも、このマイクの特徴です。

オーディオインターフェイスの「Rubix 24」は、すごくフラットな特性を持っていて、マイクの個性を十分に引き出してくれるという感じです。本体にコンプのスイッチが付いていて、微調整はできないものの効きは良くて、初心者がしてしまいがちな、不意のレベルオーバーによる歪みを防ぐ用途には十分だと思います。

それと、優秀なのが「Aston HALO」です。実は私達のスタジオでも同じものを導入したんですよ。効果は抜群で、半球状のフィルターの中に耳を入れるだけで、吸音されているのがわかるくらい強力です。

このセットは、サウンドの方向性から判断すると、ロックやポップス系も行けますが、アコースティックな編成のボーカル録りの方が、よりマッチすると思います。例えば、ギター1本の弾き語りとか、ジャズ系の編成が少ないバンドでのボーカル録りにはピッタリじゃないでしょうか。
 

TOUYU'S VOICE

 

 声の輪郭がハッキリと出る、キレのいいマイクですね。特にミッドの帯域が無理なく出ていて、自分の声が“ズン!”と太い音になっているのがわかります。僕の声はあまりミッドの成分が多くないのですが、このマイクで歌うと帯域全体がきちんと鳴っているように録音できました。もしミッドがよく出るシンガーだったら、EQでちょっと調整してあげれば、パワフルな感じはそのままに、スッキリとしたボーカルが録音できると思います。

※今回録音したTOUYUさんのテイクは以下で試聴できます。
http://www.sounddesigner.jp/index18_03.shtml
 

製品概要

【Aston Spirit製品概要】
「Aston Spirit」は、独特なデザインの筐体が目を引く、3種類の指向性(単一指向/無指向/双指向)が切り替え可能なコンデンサーマイクだ。トランス構造の採用により、美しく滑らかな高域を実現。また、本体をマイクスタンドに直接取り付けることができ、マイク自体が衝撃を吸収するので、ショックマウントなしでもセットできる。

【Aston Spiritスペック】
●指向性:無指向性/単一指向性/双指向性 ●最大入力SPL:138dB(THD0.5%) ●感度:ー32.5dB(0dB=1V/Pa 1kHz) ●周波数特性:20Hz〜20kHz(±3 dB) ●出力インピーダンス:200Ω ●外形寸法:長さ=175mm/直径=54mm ●重量:625g

【Aston HALO製品概要】
貝殻のような独特の形状を持ち、部屋に吸音材を貼るよりも絶大な効果が得られるペット素材を使用することで、軽量化を実現したリフレクションフィルター。外形寸法は538(W)×441(H)×302(D)mmで、重量は1.65kg。

【Rubix 24製品概要】
広いダイナミックレンジと低ノイズを両立する新開発のマイクプリを搭載した、2イン/4アウトのオーディオインターフェイス。24ビット/192kHzの入出力に対応し、クリアで伸びのあるサウンドを実現。また、本体にコンプ/リミッターを搭載している。外形寸法は183(W)×46(H)×165(D)mmで、重量:1.2kg。
 

 

試聴者プロフィール

 

篠崎恭一 [シノザキ キョウイチ/エンジニア]
サウンドクリエイターやトラックメイカー、レコーディングエンジニア、PAエンジニアとして幅広く活動する傍ら、DAWの豊富な知識を活かし、GRANRODEO、IDOL M@STER、長渕 剛などのマニピュレーターとしても活動。なお、専門学校で後進の指導にも力を入れている。

TOUYU

 

TOUYU [トウユ/歌い手]
2009年に、動画共有サイトに自身で歌唱した動画を初投稿。高音から低音までを幅広く駆使した歌声と、 変幻自在の卓越した表現力を武器に、これまで投稿した歌唱動画、また派生動画の総再生回数は5千万回を超える。3月21日にボカロ・カバーアルバム『セカンドハート』の発売が決定した。
 

今回の試聴環境

今回の製品試聴は、エンジニアの篠崎氏が普段使っているSLOTH STUDIOで行ないました。マイク以外にリフレクションフィルターの性能も検証するため、レコーディングブースではなく、あえて響きのある部屋にそれぞれのセットを設置し、TOUYUさんが歌ってレコーディングした音源を再生して音質をチェックしました。なお、オーディオインターフェイス、リフレクションフィルター、ポップガードのないセットについては、それぞれSLOTH STUDIO所有のものを使ってチェックと録音を行なっています。
 

ボーカル録音に必要なアイテム

ボーカルを録音するには、マイク以外にどんな機材を用意すればいいのでしょうか。また最近では、一般的な住宅環境でもクオリティの高いサウンドで歌を録ることができる、便利なアイテムが数多くあります。エンジニアの篠崎恭一さんに、ボーカル録音に必要なアイテムを挙げてもらうと共に、それぞれの役割や効果などについて解説してもらいました。
 

 

◉マイク
歌の録音では、基本的に「コンデンサーマイク」を使用します。なぜならコンデンサーマイクは、ダイナミックマイクよりはるかに高い感度とレンジの広さを持っていて、歌い手の繊細なニュアンスを余すことなく録音できるからです。
人間の声はニュアンスの使い分けによる豊かな表現力が魅力なので、ボーカル録音にはブレスやウィスパー、繊細な発音など、ダイナミックマイクでは捉えきれない細かい部分まで拾ってくれるコンデンサーマイクを使いましょう。

◉リフレクションフィルター
近年、マイク録音をする際の便利アイテムとして、注目を集めているのが「リフレクションフィルター」です。
外側は穴の空いた金属と吸音材、内側はウレタンなど吸音性の高い材質を使っている場合が多く、マイクの背面を覆うように設置することで、周辺からの反射音やノイズを吸収します。多くのメーカーから様々なタイプのモデルが発売されていますが、実際に楽器店の店頭などでサイズや重量、効果を確かめてみてから選ぶといいでしょう。

◉ポップガード
「ポップガード」とは、録音をする際に口とマイクの間に設置するアイテムで、材質は金属や布などが多く、様々な形状のものがあります。ポップガードを使用することにより、マイクに直接強い息が当たることを防ぎ、「ポップノイズ」や「フカレ」と呼ばれる雑音の発生を防ぐことができます。
様々なタイプがありますが、マイクスタンドに設置でき、セッティングの自由度が高いグースネック付きのモデルがオススメで、プロの現場でもよく使われています。

◉オーディオインターフェイス
歌をパソコンにインストールしてあるDAWソフトに録音する際、必須なのが「オーディオインターフェイス」です。
その役割は、アナログの信号をデジタルに変換し、DAWソフトに送ることにあります。多くの製品にはマイクプリ(アンプ)が搭載されており、マイクの微細な信号を増幅することで、十分な音量で録音することができます。

◉ショックマウント
コンデンサーマイクは非常に感度が高いため、繊細な音が録れる反面、ノイズなどを拾いやすいという性質があります。そのノイズの伝達を防ぐために便利なツールのひとつが「ショックマウント」です。これはゴムなどの効果によってマイク自体に振動が伝わることを防止し、リズムを取っている足音など、主に床からマイクスタンドを伝わってくるノイズを軽減します。

◉マイクスタンド
マイクで録音する際、しっかりと安定した「マイクスタンド」を使用することにより、床からの振動の伝達を軽減できる他、マイクと口との距離感を常に一定に保つことができます。また、リフレクションフィルターやポップガードも取り付けられます。

◉マイクケーブル
マイクで録音する際に必ず必要になるのが、マイクと各種機材を接続するケーブルで、通常「XLR端子」という端子を持つ「マイクケーブル」が使われます。あまりに長いものは取り回しがしにくく、音質劣化の原因にもなるので、宅録では3〜7mくらいのものを使いましょう。
 

 

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