パソコンでレコーディングをするには、DAWソフトとパソコン、そして「オーディオインターフェイス」が絶対に必要です。中でもオーディオインターフェイスは、サウンドを高音質な状態でパソコンに入出力するという重要な役割を担っています。現在発売されている機種は、メーカーごとに独自の進化を遂げており、そのクオリティや機能は製品によって千差万別。本特集でその違いを明らかにしていきます。

ローランドRubix24（文：篠崎恭一）

ローランドの持つノウハウを集約し、こだわり派から初心者に至るまで、誰もが使いやすい機能を集約したコンパクトなモデルが、この「Rubix 24」です。

初期設定段階から非常にシンプルに設計されており、Mac OS及びiOS環境ではドライバを必要としません。また、Windows10環境ではネットに接続していればドライバを自動的にダウンロード&インストールしてくれます。USBバスパワーで完全に動作するので、モバイル環境での使用にも最適です。

入出力は、フロントパネルにフォーン端子とXLR端子の両方が挿せる２つのコンボ端子、リアパネルに4つのアウトプットを備えており、ギターやベースなどを直接接続できるHi-Zインへの切り替えは、前面のボタンで行なえます。また、入力ゲインが見やすいインジケーターに加え、入力ゲイン／出力レベルを管理するツマミが、少し重みを感じる作りになっているのも好印象です。

Rubix 24の最大の特徴と言えるのが、設定レベルのダイナミックレンジを抑えて、ベストなサウンドで録音できるようにする「コンプレッサー／リミッター」機能でしょう。これは、「コンプ１、コンプ２、リミッター」という、タイプの違う2種類のコンプとリミッターを切り替えることができるというもの。これを使ってクリッピング（音割れ）を防いだり、録音段階で歌やベースといった音量変化の大きなパートのダイナミクスをある程度揃えておけば、ミックス時の処理も非常にやりやすくなります。

もうひとつの特徴が、徹底したノイズ対策です。筐体が金属なので、他の機器や周りからの磁気を遮蔽します。また、出力端子にTRSバランス出力を採用しているため、長めのケーブルを使ってもノイズが乗りにくくなっています。さらに、リアパネルにグラウンドリフト（※）スイッチが搭載されているため、ノイズが回ってしまった時にも、しっかりとノイズを遮断できます。内部回路も、アナログ部とデジタル部のグラウンドラインが完全に分割されているなど、徹底したノイズ対策が施されています。

4つのアウトは、それぞれが独立してチャンネルをアサインできるので、ライブでDAWソフトのプロジェクトを再生して、シーケンスなどをPAに送る際にも便利です。TRSバランス出力を採用しているため、フォーン端子ケーブルでのアンバランス接続も行なえます。

次にマイクで歌を録音しつつ、Rubix 24のプリアンプ部をメインにチェックしてみました。

レンジは広く、周波数帯域的な偏りがない、少し前に張り出すような存在感のあるサウンドが印象的でした。“密度の高い音”という感じで、さりげなくコンプがかかっているような、音楽的で使いやすいキャラクターです。さらに、前述のコンプやリミッターをかけてみると、非常にナチュラルにかかります。THRS（スレッショルド）ツマミを上げて強めにコンプがかかるようにすると、より絶妙なかかり具合になります。リミッターも自然なので、不用意なクリッピングによる機材の破損を防ぐという意味でも、このコンプ／リミッターはパートを選ばず、常にかけておいてもいいと思います。なお、Rubix 24はダイレクトモニター機能も備えているので、レイテンシーを気にせずに録音ができます。

シンプルな機能をコンパクトな個体に収めつつ、音質には一切の妥協をせずに、さらにノイズ対策を施したRubix 24は、初めての1台としても最適なオーディオインターフェイスです。

スペック

価格：オープンプライス（￥24,000前後）
​接続方式：USB 2.0
アナログ入出力：2イン／4アウト
デジタル入出力：なし
対応OS：Windows（7以上）／Mac（OS 10.10以上）／iOS（9以上）
音質：24ビット／192kHz
重量：1.2kg