プロエンジニアがdomicoのライブを録音してチェック!

タスカムのアナログミキサー「Model 24」徹底レビュー

タスカムのアナログミキサー「Model 24」徹底レビュー

2019/01/16


22+2トラックのMTR機能とオーディオインターフェイス機能を搭載した、22ch仕様のアナログミキサー

タスカム
Model 24

¥145,000(税抜)
問:ティアック㈱タスカムカスタマーサポート
TEL:0570-000-809
https://tascam.jp/jp/product/model_24/
 

レコーダーやミキサーの名器を数多くリリースしているタスカムから、レコーダー機能とオーディオインターフェイス機能を兼ね備えたアナログミキサー「Model 24」が登場しました。今回はエンジニアの佐藤雅彦氏に、注目の2人組バンド「domico」のライブ(10月29日:恵比寿リキッドルーム)で実際に本機を使ってもらい、そのサウンドや操作性などをテストしてもらいました。

取材:永桶喜則(編集部) 写真:小貝和夫
 


 

フェーダーの動きがとてもスムーズで
繊細な音量調節ができました

──今回、タスカムModel 24を試していただきましたが、第一印象はいかがでしたか?
佐藤
:黒とゴールドが基調で、すごく見た目がリッチですね。サイドウッドが別売りでなく、標準で付いているのも印象的です。あと、フェーダーのストロークが100mmなのは、僕らプロが使っているコンソールと同じなので、非常に扱いやすかったです。動きもとてもスムーズで、繊細な音量調節ができましたし、まったく違和感がなかったです。

──操作性はいかがでしたか?
佐藤
:アナログミキサーなので、操作できるツマミやスイッチが基本的にすべてパネル上に付いていて、デジタルミキサーのようにページをめくるようなこともなく、直感的に操作できる点が好印象ですね。唯一ページをめくる必要があるのがレコーダー部なんですけど、そこもハンディレコーダーのような感覚で使えるので、操作は簡単でした。

──当日のチェック方法は?
佐藤
:恵比寿のリキッドルームでイベントがあったので、そこでdomicoというバンドのライブを録音して、ヘッドホンでサウンドを聴きつつ、操作性をチェックしました。録音フォーマットは24ビット/48kHzです。マイクは、キックの中と正面、スネアのトップとボトム、ハイハット、タム、フロアタム、ドラムのオーバーヘッドが2本、オーディエンスマイクが4本、ギターアンプが2台あって各2本ずつ、ボーカル、ドラムのコーラス、他にスペアのマイクと、全部で20トラックを録音しました。本機は22トラック録れるのと同時に、フェーダーでバランスを取った状態の2ミックスが録れるんですね。その音でもチェックを行ないました。

──つまり、フェーダーを通さないパラの22トラックと、フェーダーを通した状態の2ミックスが録れるんですね?
佐藤
:そうです。その両方が、本体に挿したSDカードに録音されます。今回はリハーサルの段階で本体のEQとコンプを使って音作りをしたんですけど、パラのトラックはEQを通さない状態で記録されるので、後から自由に音作りをすることが可能です。これ1台でPAオペレートをしながら、同時に各パートの素の音が録音できるのが便利ですね。それにしても22トラックをSDカードに、何のストレスもなしに録音できてしまうのには驚きました。
 

10月29日に恵比寿リキッドルームで行なわれたdomicoのライブ(ライブ撮影:森 好弘)
 

すごく聴きやすい音質で、
バンドの躍動感ごと収録できました

──EQやコンプの効果はどうでしたか?
佐藤
:どちらもすごく使いやすかったですね。コンプはノブが1つなんですけど、しっかり効いてくれるので、状況に応じた素早い対応が要求されるライブの現場では非常に重宝します。EQも効きが素直で、的確に音が変わってくれるので扱いやすかったですね。それと、空間系のデジタルエフェクトを各トラックからセンドで送って使えるんですけど、即戦力のプリセットが16個用意されていて、とても使いやすかったです。

──他に気になった機能はありますか?
佐藤
:各トラックにモードスイッチが付いていて、「LIVE、PC、MTR」が選べるんですね。「LIVE」にすると、アナログインプットからAD/DA変換されない音を聴きながら作業できます。「PC」にすると、USBオーディオインターフェイスとして機能します。「MTR」にすると、AD変換後の音でミックスすることができます。つまり、本機はアナログミキサーであると同時に、オーディオインターフェイスやマルチレコーダーとして使えるのがすごいんですよ!

──つまり、本体のSDカードと同時に、USB接続したパソコンでも録れると?
佐藤
:そうです。これなら大切なライブを録る際にも安心ですね。それと、1chと2chだけインサート端子が付いているんですよ。そこには自分のお気に入りのハードのコンプやEQを挟んだりできるので、僕らプロがするような音作りも可能です。他にも、21chと22chにはRCAピンのインプットが付いているので、そこに音楽プレーヤーとかをつなげば、自分がリファレンスにしている音源を会場で流して音作りをしたり、バンドのオープニングSEを流したりできるので便利ですね。

──音質はいかがでしたか?
佐藤
:すごく聴きやすい音質で、高域から低域まで万遍なく録れていましたし、バンドの躍動感ごと収録できました。皆さんがPAオペレートやレコーディングをするには、十分なクオリティですね。

──では、Model 24をどんな人にオススメしたいですか?
佐藤
:宅録でシンセとかをたくさん使う際にも重宝しますし、バンドで1台あれば、リハスタに持ち込んで曲を録る時にも便利ですよね。もちろんライブPAミキサーとして優秀ですので、音楽に関わるあらゆる場面で使えると思います。この値段でこれだけの機能が付いているのが信じられないですし、昔だったら考えられないですよ! とにかくミキサーの基本がわかっていれば、誰でも5分で使えるようになりますし、そんな操作のわかりやすさも本機の売りだと思います。
 

今回の録音で、Model 24に接続したマイクは以下の通り。キック(中)=シュアBETA 91A、キック(外)=シュアBETA 52B、スネア(トップ&ボトム)=ゼンハイザーe904×2本、ハイハット=AKG C451、タム=ゼンハイザーe604、フロアタム=ルイットDTP 340 TT、ドラムのオーバーヘッド=AKG C451×2本、オーディエンスマイク=エレクトロボイスRE20×4本、ギターアンプA(フロント)=ゼンハイザーe609、ギターアンプA(リア)=シュアSM58、ギターアンプB(R)=ゼンハイザーe906、ギターアンプB(L)=ゼンハイザーe609、ボーカル=ゼンハイザーe935、ドラムのコーラス=シュアSM58、スペアのマイク=シュアSM58

今回、レコーディングと試聴を担当してくれたエンジニアの佐藤雅彦氏

この製品について

【製品概要】
「Model24」は、22+2トラックのMTR機能とオーディオインターフェイス機能を搭載した、22ch仕様のアナログミキサーだ。同社の録音技術が惜しみなく投入されており、SDカードへの22+2トラック同時録音と、22トラック同時再生、8トラックの同時パンチイン/アウト機能を実装。さらに、スタジオクオリティの高品位なマイクプリを内蔵している。

【スペック】
●入出力端子:インプット×20(モノラル×12、ステレオ×4)、ラインイン×20、インサート×2(以上標準フォーン)、RCAイン(ステレオ)、メインアウト(XLR、ステレオ)、サブアウト(ステレオ、標準フォーン)、モニターアウト×2、FXアウト、リモートアウト(以上標準フォーン)、ヘッドホン
●対応メディア:SD、SDHC、SDXC
●録音/再生フォーマット:WAV
●音質:最高24ビット/48kHz
●録音可能チャンネル:最大24ch(22ch+2ステレオミックス)
●外形寸法:577(W)×106(H)×529(D)mm  
●重量:10.4kg

※2018年10月29日に恵比寿リキッドルームにて、Model 24でレコーディングされたdomicoのライブ音源を、本誌ウェブ(http://www.sounddesigner.jp)で試聴できます。

試聴協力アーティスト

domico(ドミコ)
2011年に結成された、さかしたひかる(vo, g)と長谷川啓太(ds)の2人からなる、独自性と独創性で他とは一線を画すバンド。これまでに1stアルバム『soo coo?』(2016年発表)、2ndアルバム『hey hey,my my?』(2017年発表)他をリリース。「フジロック」や「ライジングサン」といった国内有数のフェスへの出演に留まらず、ジェットの全国ツアーサポートや中国ツアー、さらには「SXSW'18」の「Japan Nite」参加後に全米6箇所でツアーを行なうなど、果敢に活動中。

配信音源
「ベッドルーム・シェイク・サマー」
RED Project
※現在配信中
 

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