ヤマハ ステージピアノ CP88/CP73
フィジカルな操作性と高音質を実現した
新デザインのステージピアノYAMAHA CP88/CP73レビュー
フィジカルな操作性と高音質を実現した新デザインのステージピアノYAMAHA CP88/CP73レビュー
2019/04/15
ヤマハ「CPシリーズ」と言えば、ステージピアノの代名詞的存在として、現在まで多くのミュージシャンに愛されてきた製品です。その直系のシリーズに、これまでのコンセプトとは異なる新たなモデル「CP88/73」がラインナップされました。
文:目黒真二
ヤマハCP88
まず、その操作パネルをひと目見た時、ヤマハの歴代のデジタルシンセやエレピとはまったく異なるデザインに圧倒されました。初期のアナログシンセを彷彿とさせる斬新な色使いのスイッチが採用され、ノブやスイッチなどがすべて「音色別に配置」されています。
しかし、最新モデルだけあって、その操作体系は非常に洗練されています。鳴らしたいセクション、すなわち「Piano」(アコースティックピアノ)、「E.Piano」(エレピ)、「SUB」(その他の楽器)のスイッチをオンにするだけで、目的のサウンドを鳴らすことができるのです。レイヤーやスプリットの設定も、モードを選択したりファンクションの中に入ったりする必要はなく、組み合わせたいセクションのスイッチをオンにするだけです。
エフェクトはディレイ、リバーブ、EQが用意されており、音の好み、あるいは演奏するシチュエーションに合わせて、スイッチとツマミをイジるだけで、簡単かつ自由に音を作っていけます。これらのセッティングは「ライブセット」というメモリーに保存でき、いつでも瞬時に呼び出すことができるので、まさにライブでの演奏に便利です。
そして肝心の音ですが、さすが「ステージピアノ」を名乗るだけあって、極上のピアノサウンドが集められています。例えば、ヤマハコンサート・グランドピアノ「CFX」をはじめ、ピアノの名門ベーゼンドルファー、世界的に普及しているヤマハアップライトの名器「U1」、そしてエレピは定番のローズが鍵盤数によるモデル別に用意され、ウーリッツァー、クラビネット、DXなども収録されています。
さらに驚異的なのは、本格的なステージピアノでありながらその軽さ。73鍵モデルのCP73ではなんと13.1kg! キーボーディストが求める正統派鍵盤を装備していながら、持ち運びが可能な重量になっています。
これまでのCPシリーズとは異なるコンセプトでデザインされた、新しいこのステージピアノ。筆者は「“CP”ではなく別のモデル名を付けるべきだったのでは?」と一瞬思いましたが、常にステージ上のキーボーディストを魅了し続け、さらに未来においてもその姿勢を貫くという意味では、まさに王道である「CP」という名こそがふさわしい。そう感じました。
鍵盤数と鍵盤素材の異なる73鍵/88鍵モデルを用意
CP73は、バンドアンサンブルでのエレピ演奏を念頭に置いた、最低音から最高音がE~Eまでの73鍵。CP88は、本格派アコースティックピアノの演奏に重きを置いた、88鍵盤のフルスケールとなっている
階層に潜らずに音色やレイヤーなどをエディットできる
音色は、どのセクションの音を鳴らしたいのかをスイッチ(□)で選択(オン/オフ)する仕組み。なので、レイヤーにしたい時には、各セクションをオンにしていくだけでOKだ。レイヤーの音量バランスやオクターブも、ノブやボタン(□)で直感的に調整できるのはもちろん、左右の手で音色を分けるスプリットも「LR」スイッチ(□)のみで設定できる
保存した音色を呼び出すLIVE SET
セクションの組み合わせやバランス、エフェクトの設定を保存するLIVE SET(ライブセット)のセクション。8×20ページ=合計160のライブセットを保存して切り替えることができる。その他、マスターチューニングやトランスポーズなどの設定もここで行なう
CP88は、低音部が重く、高音部が軽いグランドピアノのキータッチを再現した、木製象牙調仕上げ/黒檀調仕上げの「NW-GH鍵盤」を採用している。吸湿性のある表面仕上げが演奏時の指の滑りも防ぎ、本物のようなリアルなピアノタッチが楽しめる。オープンプライス(¥243,000)
スタンダードなエレピに搭載されている、タッチが均一なBHS鍵盤(バランスドハンマーアクション)を採用したCP73。ピアノ、そしてオルガンなどの演奏にも無理なくベストフィットするという、弾きやすさと運搬しやすさを両立した意欲的な仕様の鍵盤だ。オープンプライス(¥202,500)
CP88/CP73共に専用のソフトケース(¥30,000)が発売されている。剛性の高い車輪と生地を採用し、スコアやペダルなどがたっぷり入る広いポケットを備えている
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