モニタースピーカーの老舗ブランドが新しいモニタースピーカーを発売!
フォステクスNF04RをINA[hide with Spread Beaver]が徹底レビュー!
フォステクスNF04RをINA[hide with Spread Beaver]が徹底レビュー!
2019/07/16
音がストレートに前に出てくるので、各楽器の位置がよくわかります
フォステクス
NF04R
¥50,000(1本)
問:フォステクスカンパニー 国内営業課
TEL:042-545-6111
https://www.fostex.jp/
モニタースピーカーの老舗ブランドとして知られ、多くのプロミュージシャンやエンジニアに愛用されているフォステクスから、この度、DTMに最適なサイズの新製品「NF04R」が登場しました。hide with Spread Beaverのマニピュレーターであり、フォステクスユーザーのINAさんに、NF04Rの音質をチェックしてもらいました。
取材:目黒真二 写真:小貝和夫
※本コンテンツは音楽雑誌「サウンド・デザイナー」(2019年7月号)より抜粋したものです。
詳しくは、サウンド・デザイナー公式サイトをご覧ください。
【INAプロフィール】
X JAPANのツアーサポートメンバー、hideの共同プロデューサー&プログラマーとして、日本のロック界を裏側から支え続ける音楽プロデューサー。作詞、作曲、プロデュース、アレンジ、DJなど、その活動は多岐にわたり国内外の様々なアーティストへ唯一無二のサウンドを提供している。http://www.area014.com
こんなにサイズがコンパクトなのに
ローがドーンと出てきたのに驚いた
──INAさんは以前からフォステクスのNF-4Aを使っていますが、今回、新製品のNF04Rを試してみて、第一印象はいかがでしたか?
INA:まずNF-4Aと比べるとサイズが小さいんですけど、筐体がアルミダイキャスト製なので、造りがすごくしっかりとしているのがいいですね。重量も見た目の印象より重いです。スピーカーは重さも音に与える影響が大きいので、持ってみて安心感を覚えました。実際、共振が発生しにくいので、大きい音量で鳴らしても音がスッキリしています。
──実際に慣らしてみて、サウンドはいかがでしたか?
INA:こんなにサイズがコンパクトなのに、まずローがドーンと出てきたのには驚きましたね。それから、小さい音をうまく拾ってくれているので、小音量で聴いても楽曲の全体像がわかりやすかったです。いい意味でのコンプ感と言うか、「小さい音は大きく、大きい音は抑えて」というニュアンスも感じました。あと、この手のコンパクトなスピーカーって、小さいがゆえに色々な技術で低域を無理やり出そうとしているモデルが多いんですね。でも、このNF04Rにはそういうわざとらしさがないので、非常に音作りがしやすいと思います。
──奥行き感や左右の広がりについてはいかがですか?
INA:正面の表面積がNF-4Aよりも狭いので、左右の広がり方はNF-4Aに比べるとですけど、少し足りないかな。なので、あまりスピーカーを左右に離さない方が、定位感がハッキリしますね。奥行き感は、ユニットを内側に向けて設置するとか各自が工夫をしてイメージ通りの音像を探せばいいと思います。スピーカーとリスニングポイントの位置関係は正三角形でなくて、スピーカー間を短くした縦長の二等辺三角形になるようにしたらいい感じになりました。
──定位感はどうでしたか?
INA:音がスピーカーからストレートに前に出てくるので、各楽器の位置がよくわかります。あと、ピンポンディレイとかのパンニングエフェクトは、すごく左右の音がわかりやすかったですね。僕の部屋はデッドとライブの中間くらいの響きなんですけど、NF04Rの場合、どちらかと言うと一般家屋のライブな部屋の方が、音像がさらにクリアになるような気がします。
ギタープロセッサーのモニター用
として使ってもいいと思う
──ダイナミックレンジやスピード感はいかがでしたか?
INA:すごく音のツブ立ちがハッキリしていますね。今回、ピアノトリオの楽曲を鳴らして聴いてみたんですけど、ピアノのフレーズ感がすごくよくわかりましたし、ドラムの速いパッセージもよく見えました。聴いていて気持ちのいいレンジにうまく収めてくれているので、耳が疲れないんですよ。
──周波数的な特徴はありましたか?
INA:これは僕個人の好みの問題なんですけど、NF04Rの低域は少し上の方まで伸びていて、やや腰高な感じを受けました。これは恐らく今の音の流行なんだと思います。EQを使って300Hzくらいを落として、5〜6kHzをちょっと上げると、僕の部屋に合っている好みの音になりました。ただ、NF04Rのリアには音質補正用のスイッチが付いているので、EQを使わなくても皆さんの部屋に合わせて音質を調整することができます。
──そのEQの効きはいかがでしたか?
INA:背面のディップスイッチでは、低域とツイーターの音質を調整できるんですけど、これがすごく効くんですよ。変えているのに全然変化がわからないモデルも中にはあるんですけど、これは変化がすごくよくわかります。恐らく様々な環境に合わせられるようにしているんでしょうね。欲を言えばですけど、ツイーター用はブーストもできるようにしてほしかったです。ただ、NF04Rは音量を上げた方が高域が伸びてくるので、環境にもよりますけど、ある程度の音量で鳴らせれば、低域から高域までのバランスがさらに良くなると思います。
──NF04Rはどんなジャンルの音楽制作に合いそうですか?
INA:特にジャンルは選ばないと思います。音のレンジが広いので、何にでも対応できるのではないでしょうか。
──では、このNF04Rをどんな人にオススメしたいですか?
INA:サイズ的にも宅録にピッタリですよね。それでいてブーミーではなくて、聴いていて気持ちいい音が出ます。音が広がり過ぎない点も宅録向きですし、いわゆる「サウンドチェック用モニター」としては十分なクオリティだと思います。それから、最近では家でアンプを鳴らさないで、ハードのギタープロセッサーを使う人も多いと思いますけど、NF04Rはサウンドにクセがないので、そういうギタープロセッサーのモニター用として使ってもいいと思います。録りやミックスだけではなくて、色々な用途で使ってみてほしいスピーカーですね。
今回の試聴は、INAが制作に使っているフォステクスNF-4Aの隣にNF04Rをセットして、それぞれのサウンドを比較しながら行なった。NF-4Aよりも内側にNF04Rを置くことで、定位感がハッキリすることからも、本機が日本の住宅事情にもピッタリな製品であるのがわかる
リアにはXLRの入力端子とボリュームツマミの他に、音質調整用のディップスイッチを搭載している。低域(LO FRQ.)は80Hzを2dB、4dB、6dB下げることができ、ツイーター(TW)は2dBカットができる
INAが自分好みの響きを作ったPro ToolsのEQⅢの画面。300Hzをやや削って、5〜6kHzを少し上げている。ただし、これはINAの部屋での設定なので、実際は自分の部屋に合うように、本機のリアにあるEQやプラグインのEQを使って調整しよう
この製品について
【製品概要】
「NF04R」は、同社のNFシリーズ初となるアルミダイキャストボディを採用し、4インチのHR形状ウーファーと、3/4インチのソフトドーム・ツイーターを搭載した小型アクティブ・モニタースピーカーだ。ウーファー用に30W、ツイーター用に20Wの高性能クラスDアンプを搭載し、バイアンプ方式でスピーカーユニットを駆動。直線性に優れ、レスポンスがいい中低域と、明瞭な高域を実現している。
【スペック】
●ウーファー:4インチ
●ツイーター:3/4インチ
●出力:30W+20W
●周波数特性:57Hz〜36kHz
●入力インピーダンス:20kΩ以上
●外形寸法:120(W)×189(H)×157(D)mm
●重量:3.1kg
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