アコースティック楽器専用マルチエフェクツ・プロセッサー

美し過ぎるロックバイオリニストAyasaがズーム A1X FOURを試奏レビュー!

美し過ぎるロックバイオリニストAyasaがズーム A1X FOURを試奏レビュー!

2019/11/15


 

A1X FOURを使えば、私が知らない新たなバイオリンの音に出会えそうです

ズーム
A1X FOUR

¥16,000
問:㈱ズーム
TEL:0570-078206
https://www.zoom.co.jp
 

 エレキギター用のG1X FOUR/G1 FOURに続き、アコースティック楽器全般に使えるマルチエフェクツ・プロセッサー「A1X FOUR」がズームから発売されました。“美し過ぎるロックバイオリニスト”として注目を集めており、日頃からギター用エフェクターを活用しているというAyasaさんに、本機のサウンドや機能などをチェックしてもらいました。

取材:永桶喜則(編集部) 写真:石原敦志
 

※本コンテンツは音楽雑誌「サウンド・デザイナー」(2019年11月号)より抜粋したものです。
詳しくは、サウンド・デザイナー公式サイトをご覧ください。

 


速いボウイングにも
ちゃんと付いてきてくれますね


──Ayasaさんはバイオリニストですけど、普段からギター用のコンパクトエフェクターを使っているんですね。

Ayasa
:空間系や揺らし系を使うことが多いですね。バイオリン用のエフェクターというものが存在しないので、他の楽器用のものを色々試してみて、いいと思ったものを使っています。ものによってはベース用の方が広い音域に対応していたりもするんですけど、圧倒的にギター用の方が種類が多くて選択肢の幅が広いので、ギター用を使うことが多いですね。

──実際、コンパクトエフェクターをどのように使っているのですか?

Ayasa
:アニソンとかのカバー曲を弾く時は、歌メロだけじゃなくて、キーボードやギターのフレーズも自分で弾くので、ずっとバイオリンの音色だと、その曲やバイオリンのことがわからない人には、全部が同じに聴こえてしまうんですね。そこで、パートごとの差別化をしたかったのが、エフェクターを使うようになった一番のきっかけですね。なるべくバイオリンっぽくない音を出したかったんです。だから、かかりがキツいものの方が自分は好きですね(笑)。

──今回、A1X FOURを試してもらいましたけど、全体的な音の印象や、プレイに対する反応はいかがでしたか?

Ayasa
:音質も良かったですし、速いボウイングにもちゃんと付いてきてくれますね。レスポンスの良さは素晴らしいと思いました。あと、A1X FOURのバイオリン用のエフェクトは、中西俊博さんが監修されているんですよね。中西さんはエレキバイオリンを日本で一番わかっている方で、エフェクターにも詳しいんです。その中西さんが開発に携わってくださっているので、すごく安心ですね。


 

1人で演奏する人にとって
「Vn Orchest」はすごく頼もしい


──A1X FOURのバイオリン用のエフェクターをいくつか試されていましたが?

Ayasa
:「Vn Dist」というディストーションが良かったですね。コンパクトの歪みも色々試したんですけど、バイオリンで使うと音が汚くなり過ぎるものが多いんですね。私は、バイオリンのキレイさを残した歪みが好きなんです。このディストーションはちゃんと歪んでくれるのに、音が壊れきっていないというか、ニュアンスを残してくれるところが好きですね。あと、バイオリン1本で何本もストリングスを重ねた音が出せる「Vn Orchest」というプリセットも良かったです。

──どんな点が気に入りましたか?

Ayasa
:バンドの中に1人で入って演奏すると、バイオリンの良さも出せるんですけど、どうしても浮いてしまいがちなんですね。今まではそういう時にオクターバーを使うことが多かったんですけど、「Vn Orchest」を使えば簡単に解決できそうですね。あのプリセットは何本くらい音が重なっているんですか?

──微妙にタイミングと音程をずらすことで8本分の厚みを出して、それぞれのオクターブ下も鳴らしているそうです。

Ayasa
:へえ〜、それで人数感を出しているんですね。バンドの音にも自然になじんでくれそうです。最近、カバーをやっていて思うんですけど、ストリングスが入っている曲が多いんですね。さっきのパート別の話にも共通するんですけど、メロとストリングスをどちらもバイオリン1本で弾くと、曲を知らない人は、どれが歌メロなのかわからなくなっちゃうんですよ。でも、「Vn Orchest」を使えば歌メロパートとストリングスパートの違いを伝えやすくなりますね。私みたいに1人で演奏する人にとって「Vn Orchest」は、すごく頼もしいと思います。

──あと、アタックの強弱によってかかり方が変わるエフェクトも入っています。

Ayasa
:バイオリンってアタックを強く弾くこともあれば、ロングトーンを弾いたりと、そういうニュアンスがハッキリと出る楽器なので、奏法に反応するエフェクトを用意してくれているのはすごくうれしいですね。ギター用のそういうエフェクトとは反応が違うし、ちゃんとバイオリニストのニーズに応えてくれていると思いました。

──A1X FOURには、ルーパー機能も搭載されています。

Ayasa
:バイオリンって楽器が自分の耳に近い位置にくるので、生音が一番大きく聴こえてしまうんです。だから、エフェクターを使った音作りが難しいんですよ。でも、A1X FOURの場合はルーパーに録音すれば、延々と再生しながら音作りができるので、本当に便利ですね。

──マルチエフェクターとしての操作性かはいかがでしたか?

Ayasa
:私、機械が本当にダメでコンパクトを使っているんですね(笑)。実際、ライブでマルチを使って、バンクを切り換え損なったり色々やらかしたこともあったんですけど、これはわかりやすかったし、マルチを使ったことのない人も使えると思いました。私もこれならがんばれるかもって思いましたし(笑)。初心者に優しい反面、細かい音作りもできるし、こだわりたい人はすごくこだわれると思います。持っていないエフェクターもたくさん入っているので、A1X FOURを使えば、私が知らない新たなバイオリンの音に出会えそうですね。

+48Vのファンタム電源を供給可能なマイクアダプター「MAA-1」が付属しており、クリップマイクなどのコンデンサーマイクを接続することができる

専用アプリの「Guitar Lab」を使えば、約100種類のオンライン配信エフェクトを追加したり、エフェクト/パッチメモリーの編集がパソコン上でできる
 

今回試奏した左のA1X FOURの他に、ペダルなしのA1 FOUR(¥14,000)もラインナップしている
 

この製品について

【製品概要】
「A1X FOUR」は、アコギ、サックス、トランペット、バイオリン、ハーモニカなど、アコースティック楽器全般に幅広く使用できるマルチエフェクツ・プロセッサーだ。ドレッドノート、ラウンドショルダー、ナイロンギター、アップライトベースなどのボディ鳴りを再現する「アコースティック・リモデリング」技術によるリアルなサウンドが特徴。その他、コーラス、ディレイ、リバーブなど、計80種以上のエフェクトを利用でき、各楽器に特化したエフェクトやパッチも用意されている。また、ルーパー機能やリズムマシン機能も搭載されている。

【スペック】
●同時使用エフェクト数:5 ●パッチメモリー数::50 ●:入出力端子:インプット(標準フォーン)、AUXイン(ステレオミニ)、アウトプット(標準フォーン/ヘッドホン兼用)、USB(Micro-B) ●電源:ACアダプター(DC9V)、単三乾電池4本 ●外形寸法:216(W)×156(D)×52(H)mm  ●重量:610g

 

試奏者プロフィール


最新配信アルバム
『CHRONICLE Ⅷ』
FUJI PACIFIC MUSIC INC.
¥1,250(単曲¥250) 発売中

Ayasa (アヤサ)
3歳よりバイオリンを始め、桐朋女子高等学校時代にアンドレ・アニハーノフ指揮サンクトペテルブルク祝祭交響楽団コンサート・ツアーにソリストとして参加。2015年に本格的に芸能活動をスタート。TVCMや人気バラエティ番組に出演した他、 山本 彩やももいろクローバーZなどのライブメンバーとして演奏するなど、多方面で活躍している。

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