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1台目にピッタリな小型オーディオインターフェイスを徹底レビュー!

1台目にピッタリな小型オーディオインターフェイスを徹底レビュー!

2020/01/15


ギターやボーカルの音を、パソコン内のDAWソフトに送る働きをすると同時に、楽曲の音質を決定する重要な役割を果たすのがオーディオインターフェイスです。タイプや価格帯など様々なモデルがありますが、ここでは編集部が初心者向けに7台をセレクト。エンジニアの篠崎恭一氏と堀 豊氏に音質をチェックしてもらいました。

写真:小貝和夫 協力:SLOTH STUDIO

※本コンテンツは音楽雑誌「サウンド・デザイナー」(2020年1月号)より抜粋したものです。
詳しくは、サウンド・デザイナー公式サイトをご覧ください。

 


試奏をしてくれたエンジニア

篠崎恭一(SLOTH MUSIC)
 

堀 豊(STUDIO21/Arrowのみ)

 

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老舗ブランドの技術を惜しみなく投入している高音質で低価格な1台

MOTU
M4

¥27,800
問:㈱ハイ・リゾリューション
https://h-resolution.com/
 

M4は、長きに渡ってDTMシーンを牽引している名門ブランドのMOTUが発表した小型モデルです。デザインは洗練された印象で、しっかりと設計されていることがわかる本体に、余計な機能を詰め込まず、必要なものだけを備えているシンプルな点が好印象です。高級感がある金属削り出しのツマミは程良い重さがあり、繊細な微調整もしやすくて、設定がズレにくい点に安心感を覚えました。

この価格帯で前面にフルカラーのLCDディスプレイが装備されているのにも注目です。メーターの表示は非常に鮮やかで、入出力のレベル管理もしやすく、今回の試聴でも正確に作業ができました。

次に音質面をチェックしてみましたが、「さすがMOTU!」という素晴らしいサウンドです。いい意味で中域に音楽的な味があって、MOTUらしさが継承されています。高域の伸びもスムーズで、広いレンジ感とスピード感を持っている現代的なサウンドという印象を受けました。いい感じのコンプ感もあり、演奏していてニュアンスが出しやすいのもポイントです。さらに位相特性も非常に良く、サウンドの分離もいいため、空間系エフェクトの切れ際も見えやすく、パンの微妙な配置などもしっかりと表現してくれました。このあたりは、クラス最高レベルの「ESS Sabre32 Ultra DACテクノロジー」という、同社の技術によるところが大きいのでしょう。なお、ヘッドホンアンプにも同等の回路が使用されていて、宅録のモニタリングで使うのには、十分過ぎるほどのクオリティです。
サウンドと機能共に、上級者でも十分納得できるレベルに達していますが、これからDTMを始める初心者でも扱いやすい仕様になっているのが本機の特徴です。

同社のDigital Performer直系のDAWソフト「Performer Lite」が同梱されているので、本機を買えばその日から録音からMIDIの打ち込み、ミックスやマスタリングまで、すぐに本格的な音楽制作を始めることができます。

M4は老舗ブランドならではの高いクオリティを持つ、初心者から上級者まで、すべての人にオススメのモデルです。
 

3万円を切る価格帯にもかかわらず、フルカラーのLCDディスプレイを採用。プロのレコーディング機器のように、細かい入出力のレベル調整ができる

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フロントパネルにはマイクやギター、シンセなどを接続できるコンボ端子を2基装備。ファンタム電源を備えており、コンデンサーマイクをつなぐことも可能だ
 

リアパネルにはラインインや各種アウトプットの他に、MIDIイン/アウト端子も備えており、USB端子を持たないシンセなどを接続することができる
 

 

スペック

●接続方式:USB2.0
●対応OS:Windows 7以降/macOS 10.11以降
●音質:最高24ビット/192kHz
●同時アナログ入出力数:4イン/4アウト
●入出力端子:インプット(XLRコンボ×2、標準フォーン×2)、アウトプット(TRSバランス×4、RCA×4)、ヘッドホン(標準フォーン)、MIDIイン/アウト、USB2.0(Cタイプ)
●電源:USBバスパワー
●外形寸法:209.55(W)×45(H)×108(D)mm
●重量:750g
●付属ソフト:MOTU Performer Lite、エイブルトンLive Lite
 


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モニターコントローラーとしても使える多機能インターフェイス

アートリア
Audio Fuse 2

¥90,000
問:㈱コルグお客様相談窓口
TEL:0570-666-569
https://arturia.jp/
 

このAudio Fuse 2は、高品質なシンセを多数発売していることで名高いアートリアの最新モデルです。

たくさんツマミ類が付いているので、一見複雑そうに見えますが、実はすべてが直感的に使える配置になっていて、ゲインやファンタムなどのイジりたいツマミやスイッチがすぐに見つかるようにレイアウトされています。また、それぞれにLEDが内蔵されていて、どれがオンになっているのかがひと目でわかります。

肝心の音質は、高域の透明感が素晴らしい現代的なサウンドです。ダイナミクスも細かく表現してくれるので、ジャンルや使う楽器に関わらず、生楽器系の音楽との相性が良さそうな印象を受けました。マイクプリの音質が素直で、マイク自体の個性や、プレイヤーのニュアンスもしっかりと出してくれます。

多くの機能を装備していますが、個人的に注目したのが、モニターコントローラーとしても使える点です。これが優れもので、瞬時に2台のスピーカーが切り替えられて、中央に配置された大きなノブで細やかにレベルを調整できます。他にDIMやMONOの切り替えスイッチなど、モニターコントローラーとしての機能が充実していて、よくこれだけの機能をこの小型な筐体に収めたなと感心しました。

本機は音質的に優れているオーディオインターフェイスですが、それだけではなく、制作効率が飛躍的に向上する機能  が満載の便利なモデルです。
 

スペック

●接続方式:USB2.0
●対応OS:Windows 7以降/macOS 10.8以降
●音質:最高24ビット/96kHz
●同時アナログ入出力数:6イン/4アウト
●入出力端子:インプット(XLR/TRSコンボ×2、標準フォーン×4、RCA×2)、アウトプット×4(標準フォーン)、ヘッドホン(標準フォーン/ステレオミニ)×2系統、ADATイン/アウト、ワードクロックイン/アウト(S/P DIF)、MIDIイン/アウト、USB2.0×3
●電源:USBバスパワー
 



 

ウォームな音質を持ち、持ち運びにも最適な小型・軽量モデル

ESI
MAYA22 USB

オープンプライス(¥12,000前後)
問:㈱銀座十字屋 ディリゲント事業部
TEL:03-6264-7820
https://dirigent.jp
 

オリジナリティのある製品を数多くリリースしていることで人気のESIですが、本機はその中でもとりわけ個性的です。まずその大きさと、非常に軽い重量に驚かされました。これならジャケットなどのポケットにもスッポリと入ります。

造りはとてもシンプルで、ファンタム電源のオン/オフは本体のスイッチで行ないますが、その他のほとんどの操作や設定は、専用のコントロールソフトで行なうようになっています。

録った音を再生してみましたが、左右の分離感が良く、中域がふくよかで、アナログライクなウォームなサウンドです。実際に録音時にモニタリングしている際も同じ印象を受けましたし、アコースティック楽器の録音に向いていると思いました。また、歌を歌ったりアコギを弾いていて、音量の大小に神経を使わずに演奏ができ、そういう点で初心者に向いているかもしれません。個人的にはテープコンプのような印象も受けました。ですので、ビンテージ系のサウンドとの相性も良さそうです。また、独自の機能であるDirectWIREを使うと、アプリケーション間でオーディオの録⾳ができるのも便利です(Windowsのみ)。

コンパクトながらも、マイクや楽器をひと通りつなげられる入出力端子が両サイドに用意されていますし、DTM環境での音楽制作だけでなく、持ち運び用としても最適なモデルだと思います。また、出先でヘッドホンアンプの代わりとして本機を使うのもいいでしょう。
 

スペック

●接続方式:USB2.0
●対応OS:Windows XP〜10/macOS 10.4以降
●音質:最高24ビット/96kHz
●同時アナログ入出力数:2イン/2アウト
●入出力端子:インプット(XLR/TRSコンボ×1、RCA×2)、Hi-Zインプット(標準フォーン)、アウトプット(L/R、TRSフォーン)×1系統、ヘッドホン(標準ステレオ)、USB 2.0(Mini-Bタイプ)
●電源:USBバスパワー
●外形寸法:100(W)×37(H)×105(D)mm
●重量:230g
●付属DAWソフト:なし
 



 

パソコンやiOSデバイスを複数つなげて制作ができる近未来型インターフェイス

アイコネクティヴィティ
iConnectAUDIO4+

¥37,000
問:㈱メディアインテグレーション
TEL:03-3477-1493
https://www.minet.jp
 

iConnect AUDIO4+は、他のオーディオインターフェイスとは一線を画す、ユニークな仕様を持つモデルです。

通常のモデルは、本体に対してパソコンなどを1台接続するのが当たり前ですが、本機はパソコンやiOSデバイスなどを同時に接続して、双方向で音のやり取りができるようになっています。近年、アプリの音源も充実してきていて、制作でも十分に使えるクオリティのものが多数登場しているので、そういった音源を気軽に制作に使えるのは本機ならではのメリットでしょう。

また、長時間の使用も想定していて、iOSデバイスに電源を供給しながら使用できる点も便利です。実際にやり取りをしてみましたが、設定は驚くほど簡単で、iOSで立ち上げたシンセの音源を、簡単にPro Toolsに録音できました。

さらに、リアパネルにあるHostのUSB端子にMIDIキーボードを接続すれば、パソコンとiOSデバイスの両方にMIDI信号を送信することができ、iOSデバイス内のシンセアプリを、まるでソフトシンセを扱うような感覚で使えました。

肝心のサウンドクオリティですが、マイク入力とライン入力の音質はどちらも非常に優秀で、マイクプリは接続したマイクのキャラ通りのサウンドで録音できます。Hi-Z端子はラインにしては重心の低い、太いサウンドで録音できました。これはベースにもオススメです。
まさに次世代のDTM環境を見越したような、非常に便利な進化形モデルです。

スペック

●接続方式:USB2.0
●対応OS:Windows 7〜10以降/macOS X 10.8〜10.14
●音質:最高24ビット/192kHz
●同時アナログ入出力数:4イン/6アウト
●入出力端子:インプット(XLR/TRSコンボ)×4、アウトプット(L/R、TRSフォーン)×2系統、MIDIイン/アウト、ヘッドホン×2(標準ステレオ)、インサート(標準フォーン)×2、USB2.0(Bタイプ)×2、Host端子
●電源:ACアダプター(付属)
●外形寸法:214(W)×37(H)×140(D)mm
●重量:965g
●付属DAWソフト:エイブルトンLive 9 Lite
 



 

フラットなクセのない音で録音と再生ができるコンプ搭載モデル

ローランド
Rubix24

オープンプライス(¥24,000前後)
問:ローランド㈱お客様相談センター
TEL:050-3101-2555
https://www.roland.com/jp/
 

このRubix24は、細かいところまで気が利いている、初心者にも非常に使いやすい2イン/4アウトのオーディオインターフェイスです。

金属製のガッシリした筐体と、程良い重さがあるツマミは、この価格とは思えないクオリティを持っていて、長年使えるしっかりとした造りになっています。各ツマミの上にLEDが付いているのも好印象でした。

音質面は、フラットかつ非常に聴きやすい質感を持っていて、クセのないサウンドでモニタリングできました。ジャンルとしてはポップスやロック向きな印象で、個人的には特に女性ボーカルの歌もの楽曲との相性が良さそうに思いました。各パートの分離も良く、前後の奥行きも見えやすいので、ミックスの作業もやりやすいでしょう。

また、非常に素直なサウンドで録音できることを活かして、バンドのリハーサルなどで、リハスタのミキサーのマスター出力から本機に入力してノートパソコンなどに録音し、演奏を確認するといった用途でも使いやすいと思います。

また、本機は本体にコンプ/リミッターを搭載しているのも特徴です。強めにスレッショルドを設定しても歪むことがなく、かかりも自然です。実際、しっかりとコンプがかかった状態で、歌とアコギを録音することができました。もちろんピークを抑える用途でも使えます。

上級者のモバイル用として、また初心者の最初の1台としてもオススメです。
 

スペック

●接続方式:USB2.0
●対応OS:Windows 7、 8、8.1、10/macOS X 10.10以上/Apple iOS 9以上
●音質:最高24ビット/192kHz
●同時入出力数:2イン/4アウト
●入出力端子:インプット(XLRコンボ)×2、ヘッドホン(標準フォーン)、アウトプット(標準フォーン)×2、MIDIイン/アウト、USB2.0
●電源:USBバスパワー、DCアダプター(5V)
●外形寸法:183(W)×46(H)×165(D)mm
●重量:1.2kg
●付属ソフト:エイブルトンLive Lite
 


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ミッドに特徴があるポップスやロック向きのスッキリしたサウンド

タスカム
SERIES 102i

オープンプライス(¥34,800前後)
問:タスカムカスタマーサポート
TEL:0570-000-809
https://tascam.jp/jp/
 

名門タスカムのSERIES 102iは、筐体の堅牢な造りが印象的です。ツマミや端子などが、パッと見でわかりやすく配置されていて、録音に必要な各種設定のほとんどが物理的なスイッチで操作できるので、わざわざコントロールソフトを立ち上げる必要がありません。

音質は、どちらかというとポップスやロック向きなスッキリとした印象で、若干重心が上にある軽快なサウンドです。マイクプリの音質は中域に独特のクセがあるのですが、決してイヤな印象ではなく、海外製品にも通じるキャラを持っていると言っていいでしょう。Hi-Z端子でエレアコを録った際もその印象は同じで、高域が気持ち良く伸びるきらびやかなサウンドが得られました。金属的な響きがうまく出せるので、ピッキングのニュアンスはもちろん、時間経過による弦の変化とかもしっかりと音に表われます。

本体だけで十分に操作はできますが、専用のコントロールソフトが非常に優秀です。インプットごとにEQとコンプが独立して設定できるので、本機だけでも非常に幅広い音作りができました。また、5種類のリバーブも用意されていて、どれも響きが音楽的で使いやすいのが特徴です。それらのエフェクトによってモニター音をしっかりと作り込めるので、録音の時にも活躍してくれます。

安心感があるサウンドで、打ち込みを取り入れたバンドサウンドなど、多彩なジャンルにも対応してくれる優秀なオーディオインターフェイスです。
 

スペック

●接続方式:USB2.0
●対応OS:Windows 7以降/macOS X Mojave以降
●音質:最高24ビット/192kHz
●同時入出力数:2イン/4アウト
●入出力端子:インプット(XLRコンボ)×2、アウトプット(標準フォーン)×2、ヘッドホン(標準フォーン)×2、MIDIイン/アウト、USB2.0(Bタイプ)
●電源:USBバスパワー、ACアダプター(付属)
●外形寸法:186(W)×65(H)×160(D)mm
●重量:1.1kg
●付属DAWソフト:スタインバーグCubase LE、Cubasis LE
※SERIES 102iには、IKマルチメディアAmpliTubeとT-RackS、アイゾトープNeutron Elementsが付属します
 



 

UADプラグインが使えて、レイテンシーのない快適な演奏が楽しめる

ユニバーサル・オーディオ
Arrow

オープンプライス(¥58,000前後)
問:㈱フックアップ
TEL:03-6240-1213
https://www.hookup.co.jp
 

Arrowは、同社のデスクトップ型オーディオインターフェイスの中では一番小型で、持ち運びがしやすいのが特徴です。パソコンとの接続はThunderbolt 3で、バスパワーで動作するため、余計な配線をしなくて済みます。

サウンドの傾向としては、上位機種譲りのアグレッシブで押し出し感のある力強い音で、レンジ感も広く、ポップスからロックまで幅広く使えます。マイクプリの音質はナチュラルですが、Unison対応のUADプラグインを使うことで、数々の伝説級のプリアンプやギターアンプのニュアンスとサウンドカラーを、各パートに加えられます。筆者も普段からUADプラグインを同社のApolloで使っていますが、オケに混ぜると実機との音の違いはプロでもわかりません。

専用ソフト「Apolloコントロール」を使うことでかけ録りもできます。ニア・ゼロレイテンシーのダイレクトモニタリングでの演奏のしやすさは特筆ものです。例えば、通常のアンプシミュレーター系のプラグインをかけ録りすると、パソコンのCPUで処理をするため、弾きにくさを感じるほどのレイテンシーが発生します。しかし、Arrowは本体のDSPで処理をして直接モニターすることができるため、レイテンシーを感じることはなく、本物のアンプと同じようにストレスなく演奏できます。歌録りも同様に快適に進めることができます。レコーディングスタジオ並みの環境を、自宅でも構築できるのが本機の売りです。
 

スペック

●接続方式:Thunderbolt 3
●対応OS:Windows 10 creators update(64ビット)/macOS X 10.12以降
●音質:最高24ビット/192kHz
●同時アナログ入出力数:2イン/2アウト
●入出力端子:インプット(XLR/TRSコンボ)×2、Hi-Zインプット(TRSフォーン)、アウトプット(L/R、TRSフォーン)×2系統、ヘッドホン(標準ステレオ)、Thunderbolt 3(USB-Cポート経由)
●電源:Thunderbolt 3バスパワー
●外形寸法:179.9(W)×25.2(H/前面)/46.7(H/背面)×121.1(D)mm
●重量:630g
●付属DAWソフト:なし
※Arrowには、Realtime Analog Classics Bundleが付属します
 

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