スタジオグレードの高音質と持ち運びやすさを両立した最新機種
Universal Audio「Apollo Twin X」と「Apollo x4」をエンジニアが徹底試奏!(超高音質のデスクトップ型オーディオインターフェイス)
Universal Audio「Apollo Twin X」と「Apollo x4」をエンジニアが徹底試奏!(超高音質のデスクトップ型オーディオインターフェイス)
2020/01/15
小型・軽量と高音質を両立し、注目を集めているDSP内蔵オーディオインターフェイス、「Apollo Twin X」と「Apollo x4」。その実力を確かめるべく、前モデルApollo Twin MkⅡのユーザーであるエンジニアの堀 豊氏に、両機を試してもらいました。
文:堀 豊(STUDIO 21) 写真:小貝和夫
【製品紹介】
写真左側がApollo Twin X(オープンプライス/DUO=¥97,000、QUAD=¥150,000)。Unison対応マイクプリを2基搭載した、24ビット/192kHz対応の10イン/6アウトモデルだ。レコーディングやミキシング、マスタリングですぐに使える14種類のUADプラグインをバンドルした「Realtime Analog Classics」が付属する。一方、写真右側がApollo X4(オープンプライス/¥195,000)。4基のUnison対応マイクプリを搭載した、24ビット/192kHz対応の12イン/18アウトモデル。レコーディングやミキシング、マスタリングにすぐに使える17種類のUADプラグインをバンドルした「Realtime Analog Classics Plus」が付属する。
【レビュー】
人気のApolloシリーズに、今回新しくThunderbolt 3に対応した2つのモデルが加わりました。従来のTwinシリーズの後継機である「ApolloTwin X」と、さらに入出力を増やした「Apollo x4」です。
両機種ともA/D、D/Aコンバーター周りの回路が、先行して発売されているラック版の「Apollo X」シリーズと同等の構成となっており、前世代の機種よりも音質が格段に向上しています。筆者は普段Apollo Twin MkⅡ(以下Twin MkⅡ)をメインのインターフェイスとして使用しているので、それと比べて進化した点をチェックしたいと思います。
まずは筐体と入出力周りからチェックをしてみました。Apollo Twin Xは、10イン(Unison対応2ch+デジタル8ch)/6アウト(ステレオ2系統+ヘッドホンアウト)という構成で、パソコンとの接続がThunderbolt 3に変更された点以外は従来のTwin MkⅡと同じです。DSPが2基搭載されたDuoと、4基搭載のQuadが用意されています。
Mac/PCとの接続は最新のThunderbolt 3に対応。Macではアダプターを介せばThunderbolt 2にも互換性があるので、旧世代のMacでも使用可能
Apollo x4は、12イン(Unison対応4ch+デジタル8ch)/18アウト(ステレオ6系統+デジタル8ch+ヘッドホンアウト2系統)となっており、DSPを4基搭載したQuadのみをラインナップしています。筐体はTwin Xの1.5倍ほど横に大きくなりましたが、実際に手に取ってみると意外とコンパクトです。両機種とも内部の熱放出のため、底面と側面のスリットがTwin MkⅡに比べて大きくなりました。
肝心の音質ですが、Twin MkⅡと聴き比べてみるとレンジ感や解像度が大きく向上していて、一聴して違いを感じます。特に高域のアタック感がハッキリ聴こえ、音が密集するローからミッドにかけての「見えやすさ」も良くなっていて、とてもミックス作業がしやすい音質になったと思います。インプットの音質の傾向もそれに近く、Unison対応のアンププラグインでエレキギターを録音してみると、芯がクッキリ残る印象で収音できました。ただ、Twin MkⅡの方がより低域の太さを感じられたので、もしかしたら今後、そのちょっとした音質の違いで両方を使い分けることがあるかもしれません。
ソフトウェア面も強化されており、Unisonチャンネルに複数のUADプラグインを挿した場合でもDSPへの割り振りが最適化されており、これまでより多くのプラグインを同時に動作させることができる
Apollo x4はラック版のApollo x6とTwinシリーズの中間という感じで、入出力が充実しているのが特徴です。歌録りとギター録りの両方でTwin MkⅡを使用している筆者は、出力が増えたモデルが出ないかと、ずっと待ち望んできました。今までは出力をステレオでモニタースピーカー用に1系統、演者の手元のキューボックス用に1系統しか使えなかったため、オケと歌のモニターバランスはエンジニア(筆者)側でコンソールアプリを使って取っていたのです。
ですがApollo x4では、例えば歌単独のアウトとクリック単独のアウトを増やすことができたり、デジタルインがあるモニターシステムであれば8ch分の信号をそのままパラで送ることができます。これなら、演者自身が手元のキューボックスでバランスを変えることができて非常に便利です。
X4ではデジタルアウトも新たに搭載された。アナログアウトがステレオのモニター1系統、ラインアウトは2系統装備されているため、スタジオでのモニタリング環境を柔軟に組むことができる
Twin Xとx4は、トークバックスイッチを手元で押すことができたりと、デスクトップ型のオーディオインターフェイスとして完成度が高く、外部のレコーディングスタジオ並みのコントロール機能が詰まった、とても使いやすい仕上がりになっています。すっかりx4に慣れてしまったので、Twin MkⅡでは満足できないようになってしまいました(笑)。
PREAMP/MONITORのボタンを切り替えるとランプが点灯し、どちらがアクティブになっているのかがすぐにわかる。トークバックスイッチは1番左にあり、マウス操作や作業をしながらでも押しやすい
【このレビュー記事を担当したエンジニア紹介】
堀豊(ホリ ユタカ)=エンジニア、コンポーザー、アレンジャー、サウンドクリエイターとして、作・編曲からレコーディング、ミックス、マスタリングまで幅広く手掛けるマルチクリエイター。数多くのプロアーティストの作品に参加している。
Information
UADソフトウェアv9.11が登場し、新たに3種のプラグインが追加された!
最新バージョンのv9.11では、モダンなサウンドに最適なチャンネルストリップ「Avalon VT-737 Tube Channel Strip」、極めて低いレイテンシーで透明かつ正確なリニアフェイズ・ディエッシングを行なえる「Oxford SuprEsser DS」、4本のKT77真空管を搭載する100Wのハイゲインアンプをエミュレートした「Diezel VH4」の3つが追加された。
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