エンジニアがサウンドチェック

歌と生楽器の録音に使える高品質なアイテムを徹底レビュー

歌と生楽器の録音に使える高品質なアイテムを徹底レビュー

2020/01/15


アコギや歌の録音にピッタリな注目のレコーディングアイテムを厳選し、性能や使い勝手をチェックしてみました。

文:KORN(エンジニア/SUPALOVE)

VOX VX50AG(¥32,000)

驚きのワイドレンジと
洗練された出音が魅力の
Nutubeを搭載した
アコースティックアンプ

VX50AG

SPEC:●入出力端子:インストゥルメント端子(標準フォーン/アンバランス)、マイク端子(XLR/バランス)、AUXイン端子(ステレオ・ミニフォーン)、ラインアウト端子(標準フォーン/アンバランス)、ヘッドホン端子(ステレオ・ミニフォーン) ●真空管:Nutube 6P1 ●パワーアンプ出力:最大約50W RMS ●スピーカー:VOXオリジナル8インチスピーカー with ツイーター ●電源:ACアダプター(DC 19V) ●外形寸法:354(W)× 208(D)× 313(H)mm ●重量:4.1kg

まず最初にこのアンプを手に取ってみて、その軽さにビックリしました! 実際にエレアコをつなげて音を出してみると、サイズと重さから予想していたよりも低域が豊かで、広いレンジで再生されることに驚きました。

やはり特にいいのが低音で、しっかり音の芯を捉えています。もともと筆者はNutubeに好印象を持っていましたが、先発のNutubeを使用したアンプと比べても、VX50AGのサウンドは洗練されている感じがします。

今回は、弾き語りとアコギの録音を想定して試してみました。本機はギター用に、「3バンドEQ/コーラス/リバーブコーラス+リバーブ」の3タイプから選べるエフェクトが用意されています。また、歌には2バンドEQとリバーブが用意されています。EQの周波数ポイントとエフェクトのかかり具合はどちらも違和感がなく、ちょうどいい質感でかかってくれます。細かい設定はできませんが、あらかじめツボを得た設定になっているので、素早くセッティングができました。最大ボリュームも十分です。

自宅練習で大きな声が出せない場合でも、VX50AGにマイクをつないで自分の歌を付属のヘッドホンアウトからモニターすれば、出来の良し悪しをヘッドホンでしっかり聴くことができ、いい練習になると思います。エフェクトもカッコ良くかかるので、気持ち良く練習ができるでしょう。AUXインも付いており、パソコンやスマホなどのオーディオアウトをつなげて、楽曲やカラオケなどを流しながらの練習もできます。欲を言えば、AUXインにボリュームが付いていれば、なお良かったと思います。

操作性については、ギターアンプを扱ったことのある人なら、間違いなく説明書なしで操作できます。VOXの特徴でもあるチキンヘッドノブは、操作性も視認性も良くて、実際に使いやすかったです。

また、背面のラインアウトはマスターの直前の音が出力されるので、PA送りやレコーディングに使えます。

私達プロの現場では、マイク録りとライン録りの音を混ぜることが多々あるので、この手の製品では珍しくフェイズ(位相反転)機能が付いているのは重宝します。ふくよかで広がりのあるスピーカーの出音と、タイトで流麗なラインアウトの音という2つのバランスで色々な楽曲にマッチする質感が作れると思います。本機はチューブアンプの質感がありながらS/Nがすごく良く、出音とエフェクトが秀逸なので、アコギに限らず、エレキのクリーンにも最適な1台です。

次世代の真空管「Nutube」とは?

nutube

Nutubeは従来の真空管に比べて、大幅な省電力化と小型化、品質向上に成功した次世代の真空管です。ノリタケ伊勢電子㈱の蛍光表示菅の技術を応用し、その構造を用いて開発されました。「真空にしたガラス管の中を電子が飛び交って、蛍光体に当たる」という従来の真空管と同じ、「アノード・グリッド・フィラメント」という構造を持ち、完全な三極真空管として動作します。また、従来の真空管と同様、真空管特有の豊かな倍音を生み出せます。

Udo roesner amps Da Capo 75(オープンプライス/予価¥90,000)

ボーカルやアコギを
上品な雰囲気で
鳴らしてくれる
アコースティックアンプ

Da Capo 75

SPEC:●入出力端子:インプット×2(XLR/TSフォーンコンボ)、DIアウト×2(XLRバランス)、AUXイン(3.5mm TRSステレオ)、ラインアウト×2(TSフォーン)、センド/リターン(TSフォーン)、フットスイッチ(TRSフォーン)、ヘッドホンアウト ●パワーアンプ出力:75W ●スピーカー:8インチ・ツインコーン・フルレンジスピーカー ●付属品:専用キャリングバッグ ●外形寸法:325(W)×245(D)×265(H)mm ●重量:7.5kg

Da Capo 75は、黒いコンパクトな筐体が印象的なアコースティックアンプです。マイク/ラインの切り替えが可能なインプットや、DIアウト、ラインアウト、センド/リターン、ヘッドホンアウト、フットスイッチでオン/オフできる内蔵エフェクト、さらに2ch共に3バンドEQが付くなど、機能が充実しています。

DIアウトとラインアウトはどちらも外部出力端子ですが、前者はプリアンプ直後の音が出力され、エフェクトを含みません(各チャンネルごとのXLR端子)。一方のラインアウトは、すべての回路を通り両チャンネルがミックスされた音が出力されます。DIアウトはPA送りやレコーディングで役立つでしょう。

チャンネル1にはギターをつなげるのを想定してか、ブライトスイッチ的なTONEボタンが付いています。チャンネル2にはボーカルを想定したであろうハイパスフィルターが付いています。

音の傾向としては上品な雰囲気が漂います。レンジが広く、中音に密度があり、奥行きが感じられました。リバーブも上品にかかってくれて、奥行きを作ってくれるような響きです。アコースティックギターをつないでTONEボタンを押すと、アコギのライン出力の特徴的なジャラジャラした高音が目立ってきますので、ストロークとかを録る時にいいと思います。

スピーカーからの出音と、ラインアウト、DIアウトの音は、3つとも印象が違いました。ラインアウトは基本的にはスピーカーからの出音に近いのですが、ミッドからローの質感や、エフェクトの混ざり具合が違います。DIアウトの音はプリアンプのみを通るので、ピックアップそのままの素直な音です。TONEスイッチも通りません。

使い勝手的には、基本的にスピーカーからの音で音作りをして録音し、それとは別の音作りやリアンプ用に、DIアウトの音を録音するのがいい気がしました。

上品な音で、センド/リターン端子も付いているので、ギターインストや弾き語り、小編成のアコースティックバンドなどにはすごく使いやすいと思います。ギターに限らず、エレキバイオリンやキーボードのモニターなどにも重宝すると思います。

Da Capo 75

コントロール部

sEエレクトロニクス sE2200(¥33,000)

高域がスムーズに伸びる
明るくて元気なキャラで
収音できるコンデンサーマイク

sE2200

SPEC:●周波数特性:20Hz〜20kHz ●指向特性:カーディオイド ●感度:24mV/Pa(−32.5dBV) ●消費電流:4.2mA ●最大入力レベル:125/135/145dB(0/10/20dBパッド) ●S/N比:86dB ●インピーダンス:50Ω以下 ●等価ノイズレベル:8dB(A) ●ダイナミックレンジ:117/127/137dB(0/10/20dBパッド) ●外形寸法:215(L)×51(D)mm ●重量:611g

 

真っ黒な筐体に、これまた真っ黒なサスペンション、そして赤色のロゴが刻印されたsE2200のデザインは、男心をくすぐるカッコ良さがあります。サスペンションはプラスチック製で、持った時に最初は心もとない感じでしたが、セッティングしてみるとマイクをしっかりとホールドしてくれて、なかなかいい感じです。

また、sEエレクトロニクスのマイクは、正面で指向性/ローカット/PADの情報がひと目でわかるレイアウトになっている製品が多いのも好印象ですね。ちなみに、このsE2200の指向性はカーディオイド(単一指向性)のみですが、sE2200のマルチパターン・バージョンとして「sE2300」というモデルも発売されています。

今回は歌とアコースティックギターで本機の性能を試してみました。高域が今風な、歪まずに上に伸びている明るく元気なサウンドです。中低音あたりに少し凹みを感じましたが、それゆえに中低音が飽和せず、歌はスッキリと、アコギのストロークはリズミカルに聴こえます。アコギで優しく弾いたアルペジオを録ると、特に中低音のスッキリさ加減がちょうど良く、EQなしでもキレイに粒立って聴こえてきます。ローカットフィルターは80Hzと160Hzの2種類から選ぶことができ、カーブが6dB/Octとなだらかなので、自然な感じでカットしてくれます。バンドサウンドの中に入る、アコギのストロークの収録にちょうどいいかもしれません。

歌も、明るい部分がしっかり前に出てくる感じです。かと言って痛い感じはありません。男性ボーカルで使う際は、もう少しローミッドあたりの太さが欲しいのですが、少しEQで調整するといい感じになりました。

ちなみに、PADは10dBと20dBを切り替えられるので、今回のテーマからは少し外れますが、ギターアンプのオンマイクにも問題なく使えます。ロックな歪みギターに使うと、オケの中でギターのおいしい帯域が抜けてくると思います。他の用途としては、ドラムの金物系に使うのも良さそうです。特にピッチの高いスネアにも合うと思います。

sE2200は値段も手頃ですし、最初に手にするコンデンサーマイクとして扱いやすい、とてもいい製品だと思います。

pad

pad

filter

ローカット

アースワークスSR314(¥82,000)

中音〜低音をカッコいい
サウンドで拾える
コンデンサーマイク

SR314

SPEC:●周波数特性:20Hz〜30kHz ●指向特性:カーディオイド●感度:10mV/Pa(−40dBV/Pa)●電源電圧:24〜48V Phantom, 10mA ●最大入力レベル:145dB SPL ●S/N比:79dB A-weighted ●出力インピーダンス:65Ω balanced ●出力ノイズ:15dB SPL equivalent (A weighted)●外形寸法:181.1(L)×40.6(D)mm ●重量:680g

まずこの独創的なグリルの形と、シルバーに光るステンレスボディの美しさに目を奪われました。音も見た目通りキラキラしているのかなと思いきや、低域をしっかりと拾いながらも、位相がいい音で録れます。

中音~低音がカッコいいサウンドで拾えるマイクなので、特に男性ボーカルの雰囲気がワンランク上がって、イケメンが歌っている感じになります。かと言って高域が足りないわけではなく、カタログ値の30kHzまで無理なくちゃんと伸びています。高域のピーク感がうまく自然に抑えられていて、まさにボーカル録音のためにデザインされたマイクだなと思いました。

この高域の特性は、アコギのストロークを録るのにもピッタリで、コンプやディエッサーの出番が減り、よりナチュラルに仕上げられると思います。

この製品のサイトを見てみると、『90度まで一貫した周波数特性のカーディオイドパターン、180度でアッテネーションが最大になる』とうたっています。その機能を、実際にライブなどでよく使われているマイクと比較してみました。90度の向きから狙ってみると、正面と同じとまでは言いませんが、他のマイクと比べてしっかり音を拾ってくれます。

音質も、まったく同じではないものの、なかなかいい感じです。実際の使用範囲内であれば、音質変化はほぼ感じないと思います。また、真後ろ側の音の拾わなさ加減も優秀です。

これらの特性はハウリングや被り対策になりますし、よく顔が動くボーカリストにとってはとてもありがたいです。まさにボーカルのためにデザインされたマイクだなと思います。

ルウィットMTP940CM(¥69,444)

アコギのボディ鳴りを
しっかり収録できる
コンデンサーマイク

MTP940CM

SPEC:●周波数特性:20Hz〜20kHz ●指向特性:カーディオイド/ワイドカーディオイド/スーパーカーディオイド ●感度:10mV/Pa, -40dBV/Pa (cardioid) ●供給電圧:48V ±4V ●最大入力レベル:144dBSPL,0dB pre-attenuation ●S/N比:85dB A-weighted ●内部インピーダンス:150Ω ●等価ノイズレベル:9dB(A), cardioid ●外形寸法:183mm ●重量:332g

 

このMTP940CMは太さがちょうど良くて、グリルのデザインもいいですし、親指が程良く引っかかって持ちやすいですね。重厚なハードケースが付属している点も、すごくいいです。

指向性がワイドカーディオイド/カーディオイド/スーパーカーディオイドの3パターンあって、ローカットは80Hz/160Hz、PADは−6dB/−12dB、さらにLEDのオン/オフが選べるなど、機能が豊富です。

誤動作がないように操作系はグリルの中に隠れていますが、現在の設定が外からひと目でわかるように、LEDがさりげなく光って、オン/オフが選べるところも、現場での使用をよく考えられているポイントです。

音質は中域がしっかり録れて、高域の2~4Hzあたりに少しピークを感じます。少しダイナミックマイク的なコンプ感があり、周波数特性と相まって、激しい音の中でも埋もれない芯の強さが感じられました。今の音楽にマッチする音ですね。

このマイクの特徴として、指向性がマルチパターンになっています。コーラス2~3人をまとめて拾う時はワイドに、色々楽器が鳴っている中で、しっかりと被りの少ない歌を拾いたい時はスーパーカーディオイドにするといいでしょう。これ1本あれば歌だけでなく色々と対応できます。指向性はしっかり切り替わりますが、距離感や音質の変化は少ないように感じました。急なセッティング変更など色々と対応できるので、現場ではとても便利に使えると思います。

試しにアコギに使ってみると、ボディ鳴りをカッコ良く収録できました。弾き語りを収録する時に、本機を2本用意して、歌とアコギを録るのもいいかもしれません。メタル系のギターにも合いそうな気がします。音質も良く、設定が豊富で頑丈な作りなので、ライブやレコーディングで活躍すること間違いなしの1本だと思います。

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