ダンスミュージックの核となるリズムの作り方をレクチャー

“踊れる”リズム作成術(第16回:コード進行についての豆知識)

“踊れる”リズム作成術(第16回:コード進行についての豆知識)

2016/03/07


ダンスミュージックやその手法を取り入れたヒット曲のリズムパターンの作り方/方法論を解説する「“踊れる”リズム作成術」。今回は、トラックにダンスミュージックらしさを加えるコツとして、コード進行に関する豆知識を紹介しましょう。

文:Dr.Usui
 

ダンスミュージックに合うコード進行

歌もののポップスやロックとダンスミュージックのコード進行を比較してみると、それぞれの特徴が見えてきます。ポップスやロックのコード進行は、例えば「Aメロ→Bメロ→サビ」といったようにサビに向かっていく“ストーリー性”や、ワンコーラスの終わりやエンディングで、その曲のキーのコードを使って終止感を出す“調性”を重視したコード進行が多用されます。

一方のダンスミュージックでは、フロアやパーティでエンドレスに聴いていられる(踊っていられる)ような“ループ感”が最も重要です。特にインストのダンストラックでは、4小節や8小節でひと回しになるコード展開の少ない進行をループさせ続けながら、リズムの変化や上もののシンセフレーズ、さらにはフィルターなどのエフェクトの変化で表情を付けていくのが特徴です。

つまり、優れたワンループのコード進行が1つか2つあれば、十分に名曲に成り得るのがダンスミュージックであると言えます。Perfumeやダフトパンクのような歌ものの曲では凝ったコード進行もありますが、基本は一定のBPMでリズムとベース、シンセのコードを鳴らして、“ループ感”を出しています。

例1.シンプルなコード進行

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例2.シンプルなコード進行の展開

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例1は「Dm→Em」を繰り返すシンプルなコード進行例で、2小節でひと回しになっている。また、「Key=Cメジャー」と考えると、「Ⅱm(Dm)→Ⅲm(Em)」を繰り返す進行になり、Cメジャーのスケール(ドレミファソラシド)の音でフレーズを作ると、メジャーともマイナーともつかない、ダンスミュージックらしい終止感のない響きになる。その他、ベースラインによっては例2のように、「Dm→Em→F→Em」という4小節でひと回しの進行にしてもいいだろう。

 

例3.ダフトパンク「ワン・モア・タイム」風のコード進行

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ダフトパンクの大ヒット曲「ワン・モア・タイム」風のコード進行例。この曲は歌もののダンスミュージックの代表ナンバーだが、これも「F△7→Em」というコード進行を繰り返しながら、7小節目にG7を入れることで次へのコード展開の期待感を煽っている。しかし、それを裏切るかのように8小節目の2拍目で「Em」に戻って、“上げては下げる”を繰り返すことで曲にメリハリを付けて、らせん状に絡まるようなループ感を作っている。

 

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