タウンゼンド・ラボ モデリングマイク・システム Sphere L22
録音後にマイクの種類や極性を変更できるモデリングマイク「Sphere L22」の実力
録音後にマイクの種類や極性を変更できるモデリングマイク「Sphere L22」の実力
2017/09/15
米国のメーカー、タウンゼンド・ラボより、高性能なコンデンサーマイクと、様々なマイクの特性を再現できるプラグインを1つのパッケージにした、モデリングマイク・システム「Sphere L22」がリリースされました。人気のオーディオインターフェイス、「Apollo」シリーズと連携できることでも話題の本製品。その魅力に、徹底的に迫ってみました。
取材・文:布施雄一郎 写真:小貝和夫
部屋鳴りや音被りを一切排除すると共に1本のマイクでステレオレコーディングも実現!
Sphere L22は、有名なレコーディング用マイク10本の特性を高精度でモデリングする、まったく新しいマイクロフォンシステムです。しかも、このシステムが活躍するのはレコーディングの時だけではありません。録音した後からでも、マイクの種類を変えたり、極性パターンを切り替えられるなど、革新的な技術が搭載された大注目のレコーディングアイテムなのです。
このシステムの核となっているのは、空間における音の鳴り具合を精密にキャッチできるように専用設計された、高解像度のデュアルチャンネル・コンデンサーマイク「L22」です。このマイクと専用のソフトウェア「Sphereプラグイン」を組み合わせることで、録音の前後に関わらず、様々なマイクの質感を宅録環境で作った作品に取り入れることができるようになります。
様々なマイクの音質を再現する「マイクモデリング」機能は、たんに各ビンテージマイクの周波数特性を再現しているだけでなく、どの方向から到達した音に対して、どの程度の感度を持っているかという、いわゆる「極性パターン」までも精密に再現します。つまり、音源とマイクの距離や、角度といった「マイキング」による質感の個性までリアルに再現することが可能となっており、これは世界でもSphere L22だけが持つ唯一のテクノロジーだと言えます。
単体でも非常にクオリティの高いコンデンサーマイク「L22」
高度なモデリング技術をフルに活かせるように、マイク本体は極めてフラットな特性となっており、楽器の音色や空間の響きをそのままクリアにキャッチすることが可能です。サウンドを歪ませることなく収音できる最大音圧レベルも「140dB」以上と、ギターはもちろん、ドラムなどの大音量の録音にも対応できます。そのうえで、多くのビンテージマイクよりも優れた、極めて低いノイズレベルを実現するなど、単体でも高品位なハイファイマイクとして機能します。
また、Dualカプセルを持ち、2chステレオ録音も行なうことが可能です。
Apolloと組み合わせるとレイテンシーなしでかけ録り可能
本製品は、ユニバーサル・オーディオのApolloシリーズ(DSP内蔵オーディオインターフェイス)に対応している点が大きな特徴です。UAD-2プラグインと同じように、SphereプラグインをApolloシリーズのDSP(コンソール内)で動作させることができるので、レイテンシーなく録音が行なえます。例えば、様々なマイクモデリングをかけ録りしたり、ボーカリストのモニターにかけるなどの使い方が可能となります。
ビンテージマイクから定番マイクまで、11種類のマイクモデリングを搭載
用意されているマイクモデルは11種類あり、それらは下記のカッコ内に挙げた有名マイクを再現したものと考えられます。また、同社オリジナルのSphere Linearモデリングが使用可能です。
マイクをたった1本手に入れるだけで、有名スタジオで使われている歴史的なマイクコレクションを、宅録で思う存分活用できるようになるというわけです。
Sphereプラグインで録音後に様々なエディットができる
従来は録音後に手を加えることができなかった、マイク録音に関する様々な要素を、Sphereプラグインでは後からコントロールすることが可能です。
マイクの種類や極性パターン(指向性およびその特性)に加え、マイクとの距離により低音感が変わる「近接効果」、1本のマイクから2本の仮想マイクをモデリングできる「デュアルマイクモデル」、さらにマイク軸を回転させる「アクシスシフト」、不要なフカレや被り、部屋鳴りを軽減できる「オフアクシス補正」などを、録音した後からでもエディットすることができるのです。
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