音質と処理能力がパワフルに進化!
ユニバーサルオーディオ「Apollo Twin MkⅡ」徹底レビュー
ユニバーサルオーディオ「Apollo Twin MkⅡ」徹底レビュー
2018/09/11
プロ・アマ問わず人気を集めるユニバーサル・オーディオのDSP内蔵オーディオインターフェイス「Apollo Twin」がバージョンアップし、ニューモデル「Apollo Twin MKII」として登場しました。ここではミュージシャンやエンジニアの方に特徴についてレビュー。第一回となる今回は、前モデルから進化した点をCUTTさんがチェックします。
文:CUTT 写真:小貝和夫
■目次:コンテンツ一覧
【第1回】
音質と処理能力がパワフルに進化したApollo Twin MkⅡをCUTTがレビュー
【第2回】
標準搭載されたMarshallアンププラグインの実力
【第3回】
家でプロ級の歌録りができる標準装備プラグイン「Realtime Analog Classics」
【第4回】
Apollo Twinを購入すると手に入るボーカル録音に最適な3つのプラグイン
【第5回】
あの有名なマイクプリ「ニーヴ」を再現したプラグイン「NevePreamp」&「Neve1073」
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【UADプラグイン愛用ミュージシャン/クリエイターインタビュー】
・JUVENILE(ジュブナイル)編
・BAROQUE・圭 編
・Tom-H@ck 編
・大石昌良 編
・みきとP 編
・青木征洋 編
・亀本寛貴(GLIM SPANKY)
【第1回】
音質と処理能力がパワフルに進化したApollo Twin MkⅡをCUTTがレビュー
上位機種の高音質AD/DAを採用し、高性能なQUADモデルも追加
初代のApollo Twinは2014年にリリースされ、人気のUADプラグインが使用できることや、ほぼゼロレイテンシーでプラグインをかけ録りできるなどの理由で人気を博しています。今回発表されたその後継機種「Apollo Twin MKII」は、堅牢な筐体とシンプルで洗練された操作系を受け継いだ、「安心感のある完成されたハードウェア」という印象です。外観の変更点は、ボディカラーが黒みを帯びたこと(Mac Book Proの新しいスペースグレー・モデルとの外観の相性が良さそうです)や、大きなレベルノブの下に配置されたオプションディスプレイが2段になったことなどが挙げられます。音質や機能に関しては、上位機種であるラックタイプのApolloと同等のAD/DAコンバーターが搭載され、トークバックをはじめとするモニター関連機能が充実するなど、大幅に進化しています。
今回の試奏ではDAWにスタインバーグCUBASE 9を使用し、筆者所有の前モデル(Apollo Twin)と比較しながら音質をチェックしてみました。まず出力についてですが、プロジェクトを再生してみたところ、音場の広がりと立体感、強弱の表現の細やかさ、ハイエンドの繊細さ、各楽器の分離の良さなど、あらゆる面で音質の向上が感じられました。ヘッドホン出力とモニター出力共にそのような傾向でしたので、これは刷新されたDAコンバーターによる影響が大きいのだと思います。
従来のSOLOとDUOモデルに加え、SHARCプロセッサを4基搭載したQUADモデルが選べるようになった。かなり大規模なプロジェクトでもUADプラグインを潤沢に使い、余裕を持って作業できそうだ
続いて入力部については、ノイマンのコンデンサーマイクKMS105で自分の声を録音してチェックしました。UADプラグインはかけずに本機のマイクプリだけを通して録音して、前モデルと音質を比較してみたところ、やはり強弱の表現の細かさや倍音のバランスの良さなどに確かな音質の向上が感じられます。試奏前は、AD/DAコンバーターの進化が自分の耳で判別できるかどうかが少し心配だったのですが、想像以上の変化に少し驚きました。
また、今回新たに「QUADコア」モデルがラインナップされたことで、DSPパワーがこれまでの上位機種「DUO」の2倍になり、より高性能(高負荷)のプラグインも余裕を持って使うことができるようになりました。この余裕のあるDSPパワーは、作曲やアレンジ、トラックメイク、レコーディングはもとより、ミックスの際に特に重宝する進化だと思います。
トークバックマイクを標準装備し、モニター切り替え機能も大幅に強化
パネル上のTALKボタンを押すと、新搭載の「トークバックマイク」がオンになり、本機に話しかけるとその音声が出力に割り込んで再生されます。この機能はコントロールルームとブースに分かれてレコーディングする時の会話や、ヘッドホンを着けて演奏している演奏者に話しかけたい時に便利です。トークバックマイクへの入力音はDAWに録ることもできるので、作業中に思いついたアイディアのメモに使うこともできます。
またモニター機能も進化し、ステレオの位相をチェックする時に重宝する「MONO」(モノラルへの切り替え)ボタンや、複数のモニターを切り替えるための「ALT」ボタン、カスケード接続したApolloを操作する「FCN」ボタンが追加されるなど、より多機能になっています。
①TALKボタンを押すと、このトークバックマイクへの入力がオンになる。録音用のものではないが、作曲時にフレーズを録るには十分な音質で、旅先での作業や急なボイスサンプルの作成などにも便利に使えそうだ
②オプションディスプレイとオプションボタンでアクセスできる機能が大幅に強化された。前モデルではボリュームノブを押して実行したMUTE機能も、ApolloTwinMKIIではこのボタン群に統合されている。トークバックスイッチは押してすぐ離すと「ラッチ」、0.5秒以上押すと「アンラッチ」となる
レコーディングスタジオの音を再現するUnisonマイクプリを2基搭載
前述の「Unison」とは、プリアンプの入力インピーダンスやゲインステージのおいしいところを忠実に再現する技術です。Apolloシリーズではこの技術をマイクプリに採用することで、マイクを本機に挿した時点からハードウェアでのエミュレーションが始まり、実機の音質や操作感をよりリアルに再現します。本機のレベルノブを操作すると、プラグインのゲインノブも連動するので、視覚的にも統合されていることがわかります。
Unisonで再現できる主なマイクプリプラグインとしては、ビンテージ感のあるUKサウンドが魅力のNeve1073(画像1/有償)、ボーカルに特化した機能とハイファイな音が特徴のManley VOXBOX(画像2/有償)、シンプルな操作性とナチュラルでウォームな音質を持つUA610(画像3/Aタイプ=有償、Bタイプ=無償)、コンプやゲートも備えた、アメリカ的なパンチのある明るいサウンドが魅力のAPI VISION CHANNEL STRIP(画像4/有償)などがあり、目的やパートによって使い分けることで、より緻密な録音が可能になるでしょう。
また、Unisonは前面のギター(Hi-Z)入力にも対応しているので、ギターアンプやストンプボックスのエミュレーションにも効果を発揮し、実機そのものを扱う感覚で操作することができます。
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