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フラクタル・オーディオ・システムズAxe-Fx III、ケンパーProfiling HEAD、ポジティブ・グリッドBIAS Rackをレビュー!

フラクタル・オーディオ・システムズAxe-Fx III、ケンパーProfiling HEAD、ポジティブ・グリッドBIAS Rackをレビュー!

2018/11/15


近年、世界中の多くのプロギタリストがレコーディングやライブで使用しているのが、「フラクタル・オーディオ・システムズAxe-Fxシリーズ」、「ケンパーProfilingシリーズ」、そして「ポジティブ・グリッドBIASシリーズ」です。ここでは各シリーズの代表モデルを取り上げて、それぞれのサウンドやプロが愛用している理由に迫ってみました。


アンプのアルゴリズムを一新し、極限まで本物のアンプに近いサウンドを追求!

フラクタル・オーディオ・システムズ
Axe-FxⅢ

¥390,000
問:㈱オカダインターナショナル
TEL:03-3703-3221
http://www.okada-web.com/
 

文:栗原 務 部分写真:小貝和夫
 

このAxe-FxⅢは、ギタープロセッサーの最高峰である「Axe-Fxシリーズ」の最新モデルということもあって、そのポテンシャルが気になっている読者の方も多いでしょう。Axe-FxⅡXL+は2Uサイズでしたが、Axe-FxⅢでは3Uサイズと大きくなり、ディスプレイもついにカラー化されるなど、パワーアップした内容にふさわしいルックスに仕上がっているのが特徴です。

まず注目なのが、内部に搭載されているDSPチップがTigerSHARKもしくはAnalog Device TigerSHARKから、KeyStoneもしくはTexas Instru-ments KeyStoneに変更されて、処理能力が格段にアップしているという点です。これにより複数のエフェクターを使用した時のパワーにも余裕が生まれ、パッチチェンジ時のタイムラグがなくなり、レイテンシーも格段に減少しています。それは音質面に対してもプラスの影響をもたらしています。

また、アンプサウンドのアルゴリズムも一新されました。収録されているアンプモデルは、マーシャルやフェンダー、VOXなどのスタンダードなものから、最近多くのプロが使っているディーゼルやフリードマン、トゥーロックなど、あらゆるタイプを263種類も網羅。さらに、リアルなサウンドが生み出せるキャビネットのIRファイルを2237種類も収録しています。すでに導入しているLUNA SEAのSUGIZOやGLAYのHISASHIといったプロギタリストからは、「デジタルなのにアナログアンプとほとんど同じサウンドが鳴る」という賞賛の声が寄せられています。

また、Axe-FxⅢでは入力と出力がそれぞれ4系統ずつに増えました。本機をオーディオインターフェイスとして使う際の入出力も8イン/8アウトになり、リアンプなどを行なう際や、DTM環境における利便性も格段にアップしています。
もともとAxe-Fxシリーズは高音質かつ高機能なモデルとして高い評価を受けていましたが、FxⅢになってまったく隙のない、ギタリストの要求にすべて応えるモンスターマシンに進化しています。
 

新しいアルゴリズムが採用されたアンプモデルのサウンドはどれもリアル。時代を超えて、あらゆるタイプのアンプが揃っている
 

このように入出力の数が増えたことで、レコーディングやライブでの接続の自由度が拡張された。例えばライブだったら、4系統のアウトプットを使ってギターの信号を、①PAミキサー、②スピーカーキャビネット、③チューナー、④エフェクターといった送り先に振り分けられる

パソコン用の専用エディターソフト「Axe-Edit Ⅲ」が用意されており、これを使用すれば複雑なルーティングを駆使したサウンドメイクも快適に行なうことが可能だ


 

ポイント①:大型カラーディスプレイの採用で操作性がこれまで以上に向上!

ディスプレイがカラー化されたことによって、視認性が格段に向上しました。サイズも800×480と大型になったため、エフェクトのチェーンは最大14個×6行分を表示できます。また、パラレルで接続するような複雑なエフェクトラインもひと目で確認することができ、音作りや接続順の切り替えなども素早く行なえます。

14列×6行でエフェクトチェーンが表示できるディスプレイは、照度も明るいのが特徴だ(画像は2行分を表示したところ)
 

ギター用のプロセッサーにしては珍しく、スペクトラムアナライザーも装備しており、より緻密なサウンドメイクが行なえる
 

 

ポイント②:2000種類以上のIRファイルを使うことができる超リアルなキャビネット

左ページでも触れましたが、Axe-FxⅢのキャビネット部には、あらかじめ2237種類ものIRデータが用意されています。Axe-FxⅡに搭載されていた189種類のIRデータも装備されているため、Ⅱから乗り換えた場合もお気に入りのサウンドを使えます。とにかく量が膨大なので、ひとつひとつのサウンドをチェックするのは大変ですが、逆に言えば理想のIRデータを求めてネット中を探し回る必要がありません。また、ユーザーエリアには2048個ものIRファイルを追加できるので、サードパーティ製のIRファイルを読み込みたい場合も余裕です。

スピーカーの口径や数、収録したマイクの種類など、様々なキャビネットのIRファイルを選ぶことができるのが特徴だ
 

キャビは最大4台まで立ち上げることができ、バランスも調整できる
 

ポイント③:お好みのペダルエフェクターをエフェクトチェーンに組み込める

Axe-FxⅢでは、増設された入出力端子を利用することで、お気に入りのペダルエフェクターを、本機のエフェクトチェーンに組み込むことができます。ペダルエフェクターはチェーン上の任意の位置にセットすることができ、後からつなぐポジションを変更することも可能。ルーティングの自由度が非常に高いのも魅力です。

写真はAxe-FxⅢにGurus Echosex 2°T7E(ビンソンのEchorec 2°というエコーを再現したペダルエフェクター)をつないでいるところ
 

 

ペダルエフェクターは、接続している入出力端子の番号でチェーン上に表示される(この写真ではアウトプット4とインプット4の間につなげている)
 

ポイント④:8つのシーンに保存した膨大なプリセットサウンドを素早く切り替えられる

Axe-FxⅢでは、エフェクトの各ブロックに4つのチャンネルを持っていて、それらをタイムラグなしに瞬時に切り替えて使えます。例えば、アンプブロックを例にすると、1つのブロックに4つの異なるアンプをセットしておくことができます。そして、各ブロックのオン/オフやチャンネルの設定を、8つのシーンに保存することができ、1曲の中で「イントロ、Aメロ、オブリ、ソロ……」といったセクションごとに、素早くサウンドを変えることが可能です。ちなみに、あらかじめ即戦力のファクトリープリセットが、512種類も用意されています。

アンプや各エフェクトごとに、4つのチャンネルと8つのシーンを組み合わせることで、膨大な組み合わせのプリセットを管理しつつ、すぐに呼び出すことができる
 

スペック

●音質:24ビット/48kHz
●入出力端子:インプット1(インストイン/標準フォーンアンバランス)、インプット2(XLRバランス)×2、インプット3(標準フォーンバランス)×2、インプット4(標準フォーンバランス)×2、アウトプット1(XLRバランス×2/標準フォーンアンバランス×2)、アウトプット2(XLRバランス)×2、アウトプット3(標準フォーンアンバランス)×2、アウトプット4(標準フォーンアンバランス)×2、ヘッドホン、AESイン/アウト、S/P DIFイン/アウト、MIDI イン/アウト/スルー、USB
●外形寸法:482(W)×292(D)×131(H)mm  
●重量:6.87kg
 

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