真空管内蔵モデル試聴レポート

【エンジニア飛澤正人氏がレビュー】AKG P820 TUBE

【エンジニア飛澤正人氏がレビュー】AKG P820 TUBE

2017/06/30


フラットで高級感があるサウンドを持つコスパに優れた1本

マイク
AKG
P820 TUBE

オープンプライス(¥72,500前後)
問:ヒビノ㈱ ヒビノプロオーディオセールス Div.
TEL:03-5783-3110
http://proaudiosales.hibino.co.jp/

AKG P820 TUBE

 

適度な重量感があって、シンプルで洗練されているデザインですね。音質的にはすごくフラットな感じで、サウンドに高級感があります。高域が少し付加されている印象もありましたけど、低域がふくよかなので、非常にバランス良く聴こえるんですよ。低域が豊かなところに真空管らしさを感じますし、上下のレンジも広くて、空気感もよく表現できていました。ダイヤフラムの特性と真空管のマッチングがすごくいいんでしょうね。最初は20〜30万円するのかと思ったくらいです。
原音再生能力も高いですし、スピード感は速過ぎず遅過ぎず、いかにも真空管マイクらしいアタック感があります。実際にオケの中に入れても存在感が失われないですし、扱いやすい音で録れました。エフェクトでの加工もしやすかったです。
歌はもちろん、楽器を選ばずにオールラウンドで使えます。非常にコストパフォーマンスが高いので、1本目の真空管マイクとしてもオススメです。

【製品概要】
「P820 TUBE」は、小規模なスタジオでも使用できるように、万全のノイズ対策が施されたマイク「Project Studio Line」シリーズのフラッグシップモデルだ。厳選されたECC83双三極管を採用しており、入力信号に偶数次倍音を付加することで、艶やかで暖かみのあるサウンドキャラクターを実現している。

【SPEC】
●指向性:無指向性から双指向性まで9種類を切り替え可能 ●最大入力SPL: 135dB(パッドオフ) ●感度:ー34dB re 1V/Pa ●周波数特性:20Hz〜20kHz ●出力インピーダンス: 200Ω以下 ●外形寸法:長さ=212mm/直径=54mm ●重量:740g ●付属品:電源ユニット、サスペンション付きホルダー、交換用サスペンションゴム、キャリングハードケース、接続ケーブル(XLR(7P、オス)→XLR(7P、メス)、約8m)、電源コード
 


飛澤正人

 

【試奏環境】
今回はDAWソフトにアビッドPro Tools、オーディオインターフェイスにデジグリッドのIOSとIOXを使ってチェックを行なった。マイクの試奏では、クセの少ないアバロン・デザインAD2022(マイクプリ)を通してPro Toolsに録音。コンプの試奏ではPro Toolsのセッションファイルを開き、すでに録音済みのドラムやベースなどのソースにかけて試聴を行なった。DIは、パッシブのシングルPUとハムバッキングPUのエレキギター、パッシブタイプのエレキベースを接続して音質を確認している。ちなみに、モニタースピーカーはB&Wの805シリーズで、ヘッドホンはシュ アSRH1540を使用した。

【プロフィール】
飛澤正人(トビサワ マサヒト) Dragon Ashなどの作品を手掛けている敏腕エンジニア。空間表現や奥行きの作り方に定評があり、時間軸に音を刻み込むようなミックスはアーティストから厚い信頼を得ている。近年は作・編曲家としても活動を展開し、藤本 健氏とのコラボ企画『DTMステーションEngineering』もスタートしている。


この記事の画像一覧

(全2枚) 大きなサイズで見る。

関連する記事

PAGE TOP