真空管内蔵モデル試聴レポート
【エンジニア飛澤正人氏がレビュー】ペルーソP-67
【エンジニア飛澤正人氏がレビュー】ペルーソP-67
2017/06/30
名器「ノイマンU67」を再現し、真空管らしからぬスピード感を実現
マイク
ペルーソ
P-67
¥318,000
問:㈱エレクトリ
●TEL:03-3530-6181
●http://www.electori.co.jp
これは真空管マイクの名器「ノイマンU67」を再現したモデルですが、オリジナルのU67よりスリムですね。専用電源もオリジナルを忠実にシミュレートしていて、メーカー側のやる気を感じました。音質的にも高域の艷やかなところがよく再現できていますし、低域のふくらみも真空管マイクらしく適度に出ていて、オリジナルにかなり近い音だと思います。実はオリジナルのU67には個体差が結構あって、なかなか状態のいいものに巡り会えないんですけど、本機ならいつでもU67らしい音で録れるので重宝しますね。
原音再現度も高いですし、音に真空管らしからぬスピード感があるのも特徴です。U67もスピード感があるんですけど、こちらの方がより速くて、ボーカルの録りに最適だと思います。実際録ってみると、音が繊細でありつつも存在感があって、オケの中に入れても埋もれずに前に出てきました。ボーカルや弦楽器といった、表現を重視するパートにピッタリだと思います。
【製品概要】
「P-67」は、デュアルメッシュのヘッドグリルやガラスEFタイプの真空管を採用することで、60年代に製造されていたノイマンの伝説的なコンデンサーマイク「U67」のサウンドを忠実に再現したモデルだ。専用電源を使用することで、無指向性から双指向性まで、9つの異なる指向性タイプの切り替えができる。
【SPEC】
●指向性:無指向性から双指向性まで9種類を切り替え可能 ●最大入力SPL: 148dB ●感度:18mv/pa ●周波数特性:20Hz〜24kHz ●真空管:EF95(6AK5, 6J1, 5654) ●出力インピーダンス: 200Ω ●外形寸法:長さ=205mm/直径=56mm ●重量:600g ●付属品:専用電源、専用ケーブル、ショックマウント、木製ケース、フライトケース
【試奏環境】
今回はDAWソフトにアビッドPro Tools、オーディオインターフェイスにデジグリッドのIOSとIOXを使ってチェックを行なった。マイクの試奏では、クセの少ないアバロン・デザインAD2022(マイクプリ)を通してPro Toolsに録音。コンプの試奏ではPro Toolsのセッションファイルを開き、すでに録音済みのドラムやベースなどのソースにかけて試聴を行なった。DIは、パッシブのシングルPUとハムバッキングPUのエレキギター、パッシブタイプのエレキベースを接続して音質を確認している。ちなみに、モニタースピーカーはB&Wの805シリーズで、ヘッドホンはシュ アSRH1540を使用した。
【プロフィール】
飛澤正人(トビサワ マサヒト) Dragon Ashなどの作品を手掛けている敏腕エンジニア。空間表現や奥行きの作り方に定評があり、時間軸に音を刻み込むようなミックスはアーティストから厚い信頼を得ている。近年は作・編曲家としても活動を展開し、藤本 健氏とのコラボ企画『DTMステーションEngineering』もスタートしている。
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